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» 2009年04月15日 08時00分 UPDATE

差のつくITIL V3理解:成功のヒケツは「顧客の事業と成果を観察すること」 (1/2)

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ではないが、サービスを享受する側の事情を知ることは重要だ。今回は顧客について知る方法論を紹介する。

[谷誠之,ITmedia]

サービス戦略・その活動「1」

 今回からは、書籍「サービス・ストラテジ」で定義されている、サービス戦略のための活動について説明する。「サービス・ストラテジ」では、サービス戦略のための活動は次の4ステップだと解いている。その最初のステップである「市場の定義」を見ていくことにしよう。

  1. 市場の定義
  2. 提供内容の開発
  3. 戦略的資産の開発
  4. 実行の準備

「サービスのための戦略」と「戦略のためのサービス」 図1:「サービスのための戦略」と「戦略のためのサービス」

 ビジネスサービスにしろITサービスにしろ、組織またはプロバイダは、自分たちがどのようなサービスを顧客に提供できるのかということと、顧客がどのようなサービスを望んでいるのかということを体系的に理解し、それに見合ったサービスを戦略的に提供していかなければならない。

 「サービス」と「戦略」には2つの関係がある。それは「サービスのための戦略」と「戦略のためのサービス」である(図1)。おおもとにあるのは、その企業の事業戦略である。事業戦略を満足させるためにはどのようなサービスが必要なのか、ということを考えるために、サービス戦略を考える。そのサービス戦略に基づいて、必要なサービスを顧客に提供する。そして今度はそのサービスそのものが、事業戦略を支える重要な基盤となるのである。

 両者の関係が良好でないと、ITサービスはビジネスサービスを支えていることにならない。この連載の中で何度も強調していることだが、サービスプロバイダが提供しているのはITシステムそのものではない。ハードウェアやソフトウェア、およびそれらの能力や可用性は、サービスプロバイダが持っているIT資産にすぎない。サービスプロバイダは、プロバイダの顧客がどのような戦略をもって事業を展開しているかということをよく知った上で、その戦略を底辺から支えるようなITサービスを提供しなければならない。

 重要なのは「顧客をよく知ること」である。顧客のニーズを知り、顧客が現在持っている資産を知り、顧客がサービスにどのような価値を求めているかを知ることである。顧客は、自分が持っている資産、あるいは自分自身で生み出すことのできる価値に対しては、対価を支払ってまで手に入れようとはしない。もちろん、興味のない価値に対しても同様である。顧客は、自分が資産としては持ち合わせていないか、自分自身で生み出すことのできない(が生み出すことを望んでいる)価値に対して、対価を支払ってでも得ようとする。

サービスが顧客資産となり、結果として事業成果を達成する 図2:サービスが顧客資産となり、結果として事業成果を達成する(クリックで拡大)

 図2は、以前の連載の中でも紹介した図である。サービス・プロバイダはサービス資産を材料(リソース)や道具(能力)としてサービスを生み出し、顧客に提供する。顧客はそのサービスを受け入れ、自らの資産として、事業戦略に活用し、事業成果をあげる。

 ここで重要なのは、顧客はどのような成果をあげることを目標として掲げているのかを理解することである。事業目標にはたいてい、次の3つの要素が含まれる。

  1. 期待される成果の内容
  2. その成果に対する目標
  3. 測定基準

 例えば、(これはITIL書籍に書かれている例そのままであるが)金融系の企業が「時間通りに処理される融資申込者の数を増やす」という事業目標を掲げているとしよう。当てはめると、次のようになる。さらにいうと、最後の「測定基準」は、具体的な数値として表されている必要があるだろう(そうでないと、達成したかどうか判断できない)。

  1. 期待される成果:時間通りに処理される融資申込者
  2. その成果に対する目標:を増やす
  3. 測定基準の数
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