ユーザー企業の業種では、金融関連企業からの売上高が最も多く、2008年は全体の約40%を占めた。金融関連の企業は「BCPの構築」「共同利用型システムの浸透」「外資系金融のビジネス拡大」を背景に規模を急拡大してきたが、昨今の金融危機の影響もあり、今後は製造業、流通業の大規模ユーザーからの案件が市場をけん引していくものと推測される。
データセンタービジネスの市場規模の約70%を関東地区の企業が占めるなど、同市場の旗振り役を担っている。関東のデータセンター事業の比率が高いのは、全国規模で拠点を展開している企業がサーバ統合を図る際に、新たなシステムの拠点を関東に移行する場合が多いからだ。
地方では、各企業が広大な土地を所有しており、場所不足などが発生しないため、自社運用(オンプレミス)型のデータセンターやIT設備を運営する企業が多い。また、地場の優良企業がデータセンターを使うかどうかで、その地域におけるデータセンターの需要が大きく左右される。こうした条件の中、ベンダーにとってデータセンター事業を始めることは大きなリスクを伴う。またベンダーには、技術者を都心に集約して運用効率を高めたいという思惑もある。結果として、地方におけるデータセンタービジネスは活性化していない。
今後は立地に対する依存度が低いクラウドコンピューティングのようなビジネスモデルが、地方のデータセンタービジネスを拡大するチャンスになる。
2008年におけるデータセンター関連の全設備投資額は約2000億円であり、市場規模の約16%が設備投資にあてられている。データセンター事業者の設備投資内容を以下のように分類する。
この中では、「ハードウェア」への投資比率が最も高く、投資全体の約35%を占める。「ファシリティ」が約25%で続く。
2008年は拡大する需要に対応するため、大手システムインテグレーターやキャリアを中心にデータセンターの建設ラッシュがあり、設備投資額も拡大した。だが、2009、2010年は経済不況の影響で建築や建設への投資が冷え込み、全設備投資は鈍化する見通しだ。一方で、ファシリティやハードウェア、ソフトウェア、サービスの分野は、グリーン化の影響によるシステムの入れ替え需要によって堅調な投資が期待される(図2)。
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