モンスターマシンが実現するプライベートクラウドの夢EMCハイエンドストレージ(2/3 ページ)

» 2009年04月16日 05時49分 公開
[大西高弘,ITmedia]

運用管理の簡便さにも細かな配慮

 巨大な能力を持つストレージ製品であるV-Maxだが、それだけに運用管理の簡便さが求められることは言うまでもない。今回の発表では、そうした要求に対する対応策も紹介された。その1つが仮想プロビジョニングだ。実容量を超えた容量をサーバに仮想的に提供し、4倍の容量のボリュームを作成、すべての階層とRAIDレベルの容量を仮想化させることができるという。

「ビジネス要件にかなったクラウド環境を実現する」と語る高橋俊之執行役員

 また、IO特性に合わせた適材適所のドライブを提供する。アクセス頻度の非常に高いデータはフラッシュドライブ、その次の頻度のデータはファイバチャネルドライブ、さらに頻度が低いものはSATAドライブというように、データアクセスの頻度に合わせて、データを置くドライブを選択することで、ストレージのコストを抑え、ドライブ数の削減を可能にする。

 EMCジャパン プロダクトマーケティング部の中野逸子氏は次のように語る。

 「データの置き場所は一度設定すれば変更はないということならば、高度な管理機能は必要ないのかもしれないが、現実はそうではない。ビジネス環境の変化によって適材適所のパターンは変更されることが多い。バッチ処理をするデータは処理しない時間とする時間で、置くべきドライブは違ってくる。それぞれのデータの扱い方によってストレージの階層化を自在にあやつりたいというニーズはとても高い。ただこれにはシステムは無停止でデータは完全に保護できるという条件が必須となる。こうした条件を満たし、しかもIT管理者にとって負担とならないようにするため、今年中に『FAST』という機能を提供する」

「厳しい経済環境でも、ITインフラの仮想化は着実に進む」と話す中野逸子氏

 FASTはFully Automated Storage Tieringの略。自動階層化機能という意味だ。階層化をさまざまな角度から検討し最適なパターンを設定することで、自動的にサービスレベルを最適化できるという。

 この自動化の仕組みはプロビジョニングにも発揮されている。V-Maxでは、各仮想サーバとストレージとポートをそれぞれ1つのグループとみなし、プロビジョニングすることができる。この機能によって、プロビジョニングの作業を大幅に簡素化することが可能になる。

 さらに、V-Maxでは新しい圧縮機能を採用しており、データ保護や災害対策を目的にリモートレプリケーションをする際も帯域幅を最大で50%縮小でき、レプリケーションのタスクを迅速化してリカバリ時間も短縮したという。

 EMCによればこうしたさまざまな新機能によって、同社の従来製品と比較してプロビジョニング時間は80%短縮、データモビリティは20倍高速となり、リモートレプリケーションコストを半分にするとのことだ。

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