富士通の企業向けクラウドは中小も狙う 3年3000億円規模にNEC、IBMと争う

富士通が企業向けクラウドサービスを発表した。数十万台規模の仮想サーバからサーバなどの機能を提供する。関連するシステムインテグレーション事業も強化し、3年で3000億円の売り上げを目指す。

» 2009年04月27日 16時24分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 富士通は4月27日、サーバやストレージなどのIT資産(リソース)、ネットワークやセキュリティ、運用管理のサービスをネットワーク経由で提供する「クラウド型」のサービスを発表した。数十万規模の仮想サーバを使い、ユーザー企業の要望に応じてITリソースを柔軟に振り分ける。業務アプリケーションの開発やクラウド関連のシステムインテグレーションサービスも提供し、3年間で3000億円の売り上げを目指す。

富士通のクラウドサービスの全体像 富士通のクラウドサービスの全体像。企画から導入、運用までを一括で支援するもので、システムインテグレーションサービスなども順次提供していく見通しだ

 提供を開始するサービスは大きく分けて4つ。(1)同社のデータセンターで運用しているサーバやストレージ、OSなどの機能をネットワーク経由で提供する「システムプラットフォームサービス」、(2)社内外から企業のネットワークに接続する環境や認証機能を提供する「ネットワークサービス」、(3)情報システムの保護やデータセンターの遠隔監視を実施する「セキュリティサービス」、(4)アプリケーションの稼働状況や情報システムの消費電力を可視化する「マネジメントサービス」だ。

 群馬県館林市のデータセンター新棟(10月に稼働予定)に設置した1000台規模のサーバを仮想化技術でつなぎ、数十万規模の仮想サーバ環境を構築。クラウド専用のサービス基盤「Trusted-Service Platform」を稼働させ、さまざまなサービスを提供する。ユーザー企業は、データセンター内に独自の情報システム環境を構築し、遠隔操作で機能を使えるようになる。企業が自社で運用している情報システムをクラウド環境に移行することも可能だ。

 4つのサービスを軸に、クラウド関連のコンサルティングやシステムインテグレーションのサービスも順次拡大していく。クラウド環境と企業内の情報システムをどう運用するか、業務プロセスにどう落とし込むかなどを提案したり、シンクライアントやモバイル端末を使った情報システムの管理を支援したりする見通しという。

執行役上席常務の石田一雄氏 「GoogleやAmazonを真似ていても勝てない」と石田氏。セキュリティやアプリケーションの監視などを強化したクラウドサービスで、企業ユーザーの取り込みを狙う

 価格はシステムプラットフォームサービスが月額17万5000円から、セキュリティサービスが月額25万円から。固定料金のほかに、IT資産の利用量に応じて課金を行う。ネットワークサービスとマネジメントサービスは個別見積もり。クラウド関連のサービスで3年間に3000億円の売り上げを目指す。

 富士通 経営執行役上席常務の石田一雄氏は「(発表したクラウド型サービスを)中小企業にも展開したい」と意気込む。4月23日には業務アプリケーションを中心としたSaaS(サービスとしてのソフトウェア)事業の拡大も発表し、クラウド型のサービスを幅広い規模の企業に提供する土台を整えた。

 IBMNECは企業の情報システムをクラウド環境に移行する「プライベートクラウド」型のサービスを発表しているが、それとは異なった立ち位置でサービスを売り込む考えだ。

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