場の管理をマスターし、目指せオフィス潤滑油!「脱KY」を図る情報コントロール術(3/3 ページ)

» 2009年05月07日 08時00分 公開
[野水克也(サイボウズ),ITmedia]
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「ファシリテーション」のマスターを目指そう

場の構成要素 場の構成要素

 ちなみに場を構成する要素には、情報と環境の2種類がある。情報は、掲示板のコメント自体のほかに、その前後で周囲から取り入れた情報などが影響する。例えば、ほかの掲示板で「不況」とか「上場企業の8割が赤字予想」なんて記事があれば、社長が「もっとがんばろう!」とノーテンキにいっても無駄なわけだ。グループウェアを活用していても、ポータルのグラフが右肩下がりで、部内の社内メールでは「○○くん、今月はまだ目標に達してないね」といわれ、全社掲示板で社長が危機感をあおれば、本人が何を感じるかは想像に難くない。

 そして、こういう場合、さらに環境が悪い方向へと作用する。環境には「周りの気持ち」と「コミュニケーションする手段」が含まれるが、情報面で悪い情報と自分ができてない感を散々打ち込まれたときに、社内の気持ちがいい方向へ向くはずがない。そういう場合には、次第にオフィシャルな場での発言は控えるようになり、コミュニケーションは一方的になる。そして、我慢の糸が切れた場合だけ思い切りネガティブ発言するものだから、さらに場が荒れる――という具合に、わたしがやや理詰めに説明すると……。

A夫 だったら、グループウェアなんてない方がいいじゃん!

 ……といわれてしまった。このままでは、何の問題解決にもならないばかりか、自分の商売まで否定されてしまいかねない。昼ごはんを食べながらで、ゆるい気分ではあるのだが、ちょっと気合を入れて説明を続ける。

わたし あのさ、ファシリテーションって知ってる?

A夫 ああ、会議の進行とかの技術でしょ。

わたし そんな感じ。人の活動がスムーズにいくように舵取りすること。この技術は通常は会議で使われるスキルとして認知されていることが多いんだけど、電子会議にも使える技術なんだ。ファシリテーションを理解すれば、グループウェアの場のコントロールもできると思うよ。

 ファシリテーションは、もっとも狭義には、「会議を効率的に行うための働きかけ」を意味し、円滑に会議を運営し、議事の進行プロセスを管理することを指す。反対に広義にとらえると「組織による創造、変革、問題解決、合意形成、学習などを支援し促進させる働き」となって、企業全体の成長を支える組織運営にも影響をおよぼす。

 もちろん、そこまでいくには奥が深くて容易にはマスターできないし、ファシリテーションを極めた人が日本を動かしたという事例も聞かないので限界はあるのだろうが、グループウェアを通したコミュニケーションには、環境が限定されている分、リアルの会議やコミュニケーションより効果的だろう。

A夫 電子会議の「場」をコントロールするのにも使えるのかい?

わたし もちろん。ファシリテーションに求められる4つのスキルの最初に書かれているのが、「場のデザインのスキル」なんだ。ポータルや会議室といった環境を整えるだけでも、ずいぶんと議論の雰囲気は変わるもんなんだよ。

 ……もっと詳しく「場のデザインのスキル」について教えたいところだけど、昼休みはもう終りだし、次の打ち合わせも迫っている。

わたし 今日は時間がないから、また次回。あ、そうそう、ここはゴチになっていいよな!


 そんなわけで、次回はグループウェアを活用した「場」のデザインについて語りたい。

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