NECと富士通のトップが語るクラウド事業Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年05月18日 06時53分 公開
[松岡功ITmedia]
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メインフレーム技術が生かせるクラウド事業

 一方、富士通の野副社長は、先週14日に開かれた同社のプライベートイベント「富士通フォーラム2009」の基調講演でクラウド事業に言及した。

 同社では4月27日に、信頼性・セキュリティ・可用性・拡張性・省エネルギーを高レベルで実現するクラウドサービス基盤「Trusted-Service Platform」を発表。ユーザーニーズにタイムリーに対応するサーバファームや、ICTシステムを安心・安全に維持するクラウドセキュリティセンターなどを設置し、システムプラットフォームサービス、ネットワークサービス、マネジメントサービスなどを提供するとした。

 野副社長はこうしたサービス基盤を打ち出した背景についてこう語った。

 「企業が利用するクラウドサービスのサービスレベルは、セキュリティにせよシステムの安定性にせよ、先行しているとされるGoogleやAmazonなどのレベルでは不十分だというのが私どもの認識だ。もちろん、お客様がGoogleやAmazonのサービスを利用されることを否定するわけではないが、その場合でも富士通のプラットフォームと組み合わせることによって、GoogleやAmazonのサービスの価値や効果が一層高いものになる。富士通はそうした利用環境の提供をめざしている」

 そして野副社長は、企業向けクラウドサービスの最大のポイントについてこう話した。

 「企業が利用するクラウドサービスについては、お客様がシステムをどのようにお持ちになるか、またその運用や今後の増強などにおける悩みから解放され、アプリケーションの開発に集中できるという環境を提供することが第一義だと考えている」

講演でクラウド事業について語る富士通の野副州旦社長

 さらにこう続けた。

 「その意味でも企業が利用するクラウドサービスは、トラステッドであることが今後ますます求められるようになってくる。そこで生きてくるのが、富士通が長年培ってきたメインフレームに基づく技術やノウハウだ。そういう技術やノウハウを生かせる人材が当社にいることを、私は非常に誇りに思っている」

 ちなみに野副社長がクラウド事業に言及したのは、グローバル事業戦略の注力ポイントとしてだった。つまり、クラウド事業でグローバル市場に打って出るという意思は、NECの矢野社長も富士通の野副社長も同じだ。国産ITベンダーの代表格である両社のトップが見せたその心意気に注目したい。

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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