日立、集積度を高めたシンクライアント製品を発表約30%のTCO削減を図る

日立はシンクライアント製品「FLORA bd500」を5月19日より販売開始。5Uのシャーシには40枚のモジュールを搭載でき、クライアントPC管理の負荷とコスト低減を図る。

» 2009年05月18日 20時10分 公開
[ITmedia]
「日立は国内最大のクライアントブレードユーザーでもある。今回の製品にはユーザーとしての経験もフィードバックした。またFLORA bd500には、BladeSymphonyの可用性や製造ノウハウも生きている」と日立 エンタープライズサーバ事業部の山本事業部長 「日立は国内最大のクライアントブレードユーザーでもある。今回の製品にはユーザーとしての経験もフィードバックした。またFLORA bd500には、BladeSymphonyの可用性や製造ノウハウも生きている」と日立 エンタープライズサーバ事業部の山本事業部長

 日立製作所(以下、日立)は5月18日、同社のシンクライアントソリューションである「FLORA bd」シリーズに、クライアントブレード「FLORA bd500」を追加した。5月19日から販売を開始する。

 FLORA bd500では、ベースユニット下部の冷却ダクト配置や背面の開口率(冷却風の通過する部分の面積比率)を確保した構造をとることで、冷却効率を改善した。また、LANスイッチを別途用意する必要があった従来機種に対し、FLORA bd500ではLANスイッチモジュールを内蔵。結果、最大40台のクライアントモジュールを、5Uサイズのベースユニット1台に搭載でき、1ラックあたり最大320台のクライアントモジュールを搭載するという高集積率を達成した。

 ベースユニットの背面には、ホットスワップで交換可能な電源モジュールと冷却ファンモジュールを冗長構成で搭載し、システムの可用性を高める。またこれらのモジュールの稼働監視を行うコントロールボックスを本モデルより実装。障害の検知と対応に備えた。コントロールボックスには、クライアントモジュールの負荷状況に応じて電源をオフにする機能が備わり、トータルの消費電力を削減する(日立の試算では、従来比20%の消費電力を削減できるという)。省電力機能については、業務外の時間帯にクライアントモジュールを休止したり、ユーザーやグループごとの運用スケジュールを配信したりする運用ソフトウェア「SAVINGDA Pro」に、現行機種に引き続き対応する。こちらでは、消費電力を従来比35%削減するという。

 なお運用面では、「FLORA bd Link」により管理できる。「Citrix XenDesktop 3.0」へ対応し、ユーザー端末からクライアントモジュールをリセットできるなど、障害発生時、管理者の手を借りずにユーザーが対処することも可能になった。

 なお日立では、FLORA bd500ベースユニット内にクライアント集約に必要な要素をパッケージ化した「オールインワンパック」をメニュー化する(2009年度第1四半期中に販売開始予定)。XenDesktopの接続管理サーバや、ActiveDirectoryサーバなどをクライアントモジュールにインストールし運用することで、ユーザーはほかにサーバを用意する必要がなくなる(例えばベースユニット内の40モジュールのうち、4枚のモジュールを管理サーバに、36枚のモジュールをクライアントブレードに使うといったやり方)。またインストールや設定の作業は、日立が代行する。これにより初期導入コストの抑制、設定作業の省力化、構築期間の短縮を果たし、特に試行導入や中小規模のクライアント集約システムに向くという。

FLORA FLORA bd500のベースユニット(5U)には40枚のモジュールが挿入できる FLORA bd500のベースユニット(5U)には40枚のモジュールが挿入できる。モジュールの一部を管理サーバに使うといった選択肢も,FLORA bd500のベースユニット(5U)には40枚のモジュールが挿入できるOSはVistaだが、導入時、XPへのダウングレードが可能。モジュールの一部を管理サーバに使うという選択肢も

 価格はクライアントモジュールが11万3400円から、ベースユニットが34万9650円から。5月29日に出荷開始する。2006年度から2008年度にかけての累計売上高160億円(セキュアクライアントロシューション関連事業の総額)に対し、2009〜2011年度は350億円を目標に設定する。

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