Wolfram|Alphaは「Googleキラー」ではない

「Googleのライバル」と言われ、注目を集めているWolfram|Alphaだが、それは誤解だ。

» 2009年05月20日 14時10分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 計算型ナレッジエンジン「Wolfram|Alpha」が今週公開され、メディアやWeb評論家の注目を集めている。そして奇妙なことに、こうした人たちの多くがWolfram|Alphaを完全に誤解している。

 Wolfram|Alphaについて最もよく言われているのが、Googleのライバル候補ということだ。だがWolfram|Alphaは、中核アプリケーションのMathematicaと同様に(ついでに言えば、皆さんの販売データベースと同様に)Googleのライバルではない。

 まず、Wolfram|AlphaはWebを検索しない。Wolframが維持し、絶えず更新しているナレッジデータベースを検索する。それにWolfram|Alphaの使い道はGoogleのような検索エンジンとは異なる。だが、Wolfram|Alphaの見た目が検索サイトに似ているために誤解してしまう人がいるのだろう。

 ではWolfram|Alphaはどんな仕組みになっていて、どんな役に立つのだろう? 検索エンジンというよりはビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォームのようなものと考えれば、おそらく方向としては正しいだろう。

 Wolfram|Alphaは基本的には質問に答え、関連するデータや統計を提供する。社名を入力すれば株価や企業情報が返ってくる。都市名ならたくさんの人口統計情報が得られる。

 当然ながら、Wolfram|Alphaが得意とするのは数学・科学の計算だ。式を入力すれば、答えと入力した数式の詳細が返される。

 もちろん、「Britney Spears」と入力すると、生年月日と出身地以外の情報は大して出てこない。だが、Wolfram|Alphaはそういう目的に使うものではない。

 Wikipediaのように、Wolfram|AlphaはGoogleなどの標準的な検索エンジンを補完するものだ。実際、この2つを合わせると素晴らしいアプリケーションになるだろう。

 Wolframはデータを常にアップデートしているため、Wolfram|Alphaは数学や科学以外の分野の詳細な質問にももっとうまく答えられるようになるはずだ。同サービスはWebを検索しないが、セマンティックWebアプリケーションに求められる要素を多く持っている。

 Wolfram|Alphaを試してみたい人は、www.wolframalpha.comへどうぞ。

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