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» 2009年05月25日 10時06分 公開

RFIDソリューション:作りたてと鮮度にこだわり続けるファンケルの物流改革 (1/2)

顧客の不便・不安・不満の解消をビジネスの原点に置くファンケルは、徹底して鮮度にこだわるあまり物流業務が部分最適化していた。そこでERPによる生産業務の見直しとともに、国内の物流8拠点を1カ所に統合。物流費を年間10%削減に成功した。

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

無添加と価格破壊で成功したファンケル

ファンケルの売上高の内訳

 1980年に創業し今年で30周年を迎えるファンケルは、1970年代に化粧品による肌トラブルが大きな社会問題化した当時、創業者である池森賢二氏の防腐剤を一切使わない無添加化粧品の開発をきっかけとしてその歴史スタートさせた。

 当時の化粧品は防腐剤や酸化防止剤、着色料などの添加が常識だったが、同社は添加物を使用しないために、わずか5ミリリットルの薬ビンで小分けにし、1週間使い切りの有効期限を設けたほか、問屋や卸しを経由しない直販体制を強化して鮮度維持にこだわり続けた。

 その後、サプリメントの価格破壊を旗印に低価格戦略で健康食品事業へ参入。安価なアルミ製パックや安全な植物由来のカプセルを採用し、日本人の生活にサプリメントを定着させたのもまたファンケルの功績といっていいだろう。

 現在の同社の売上構成は、化粧品事業が49.4%、サプリメント等の栄養補助事業が30.2%、その他の発芽米・青汁・肌着等の各事業で20.4%という構成になっている。販売チャンネルはネットを含めた通信販売が56.7%を占めるが、近年は直営店舗による直販も27.7%と増加している。

物流改革で全体最適化のはずが部分最適に

「当社のビジネスの原点は“不”の解消」と語るファンケルの成松義文社長

 「当社のビジネスの原点は"不"の解消。顧客が何に不便を感じているか、何を不安に思っているのか、どこに不満を感じているのかといったことを探り、問い続けることをビジネスの根幹に置いている」と語るのは、ファンケルの代表取締役社長執行役員を務める成松義文氏だ。2009年5月13日に開催された「第4回RFIDソリューションEXPO」の専門セミナーに自ら登壇し、同社が取り組んできた物流改革について解説した。

 同社の物流改革は細かなアイデアの積み重ねから始められている。通販で商品を宅配する場合、不在時に受け取れない不自由さを解消するため、郵便ポストに投函できる厚さ3センチのサイズに商品パッケージを統一することに挑戦。それでも薄型化が難しい商品もあったため、今度は宅配事業者と交渉し、顧客の希望により庭先に留め置くなどの「置き場所指定サービス」を始めた。

 また、化粧品にはすべて製造年月日を明記し、無期限返品保証、サプリメントと薬の飲み合わせ情報の提供など独自のサービスを打ち出した。

 しかし、そんな新鮮さを追求するあまり、商品アイテムの多様化による多品種少量によるセル生産への切り替えや、販売ルートのマルチチャンネル化、さらには上記のような多様なサービスを展開したことで物流業務が多様化し、物流センターが日本全国8拠点に分散するなど部分最適となってしまった。

 拠点ごとに商品を抱えるために重複在庫が発生する一方で欠品も発生し、廃棄する商品も増えてコストの増大へとつながっていたと明かす成松氏は、「結果的に、在庫不足や納期遅延など顧客の不満につながっていた」と振り返る。

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