キラーウェブでなければ生き残れないキラーウェブを創る(1)(2/4 ページ)

» 2009年05月26日 08時45分 公開
[前野智純,ITmedia]

キラーウェブ育成3カ条

 キラーウェブを育てる要素は大きく分けて3つある。

 一つ目は、対象となるユーザーや検索のニーズごとに、Webサイトを細分化すること。多くの場合、異なる対象に向けた内容を、同一のWebサイトの中に掲載してしまっている。

 ネット検索の主流がロボット型であることを考えると、サイトの入り口は一つではない。全ページが入り口ととらえるべきだ。キーワードで検索してくるユーザーのニーズは顕在化している。こうした対象に直接訴求できるサイトであることが好ましい。

 二つ目は、コンテンツの深掘りだ。本連載で登場するサイトの多くは、圧倒的な情報量を誇っている。これらのWebサイトがほかのメディアと大きく違うところは3つある。ユーザーが能動的に情報を取りに来るメディアであること、競合サイトとすぐに比較できること、そして情報量に物理的な制限がないことだ。

 こうした特徴を徹底的に生かさないと、Webを作る意味が薄れてしまう。ユーザーは、ほかのメディアでも入手できる情報では満足しない。カタログに載っている程度の情報量だと、わざわざWebを見る必要はない。カタログの利点が勝ってしまう。キラーウェブになるには、情報を深く深く掘り下げていかないといけない。

 三つ目は、ニッチ(他社が進出していないすき間の分野)に訴求することだ。検索エンジンのリスティング広告に代表されるように、現在のマーケティングはどんどんニッチ化している。対象を明確にして、そこにダイレクトに訴求し続けることで、費用の最小化と効果の最大化が期待できる。

 そして、ニッチな訴求に必要となるのが、Webサイトの細分化とコンテンツの深掘りだ。ニーズがあるユーザーには、必ずしもほかのコンテンツ(クロスセルなどの戦略的な場合は除く)を見せる必要はないし、そんなユーザーに対して中途半端な情報量を提示しても、受け入れてもらえない。

 全部が全部、そうすべきだという話ではない。ネットを活用する目的は今やさまざまである。しかし、費用対効果を最大化するには、まず顕在化したニーズを確実にとらえる必要がある。

 キラーウェブになるためには、上記の3つを徹底し、検証、改善のPDCAを回していく。その中で自社の強みを磨き、「一番」の領域を作る。こうしたプロセスから、キラーウェブはランチェスター戦略に通じるものがあると思っている。

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