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» 2009年05月29日 17時30分 公開

調剤薬局チェーンのBI活用:「かかりつけ薬局」のパフォーマンスを最大化せよ (1/2)

大手調剤薬局チェーンの日本調剤は、分析ツールを広範囲に活用したダッシュボードを作成し、店舗の活性化を図る施策を打ち出している。

[大西高弘,ITmedia]

成長著しい業界の厳しい競争

 日本の調剤薬局業界は約5兆円規模に達し、その成長率は毎年4%以上になるといわれている。経済環境は悪化する一方だが、高齢化と、患者を医師と薬剤師でケアしていくという医薬分業が進展する中で、この業界は着実な成長を続けている。

 現在、業界は淘汰、再編を繰り返し巨大チェーン同士がしのぎを削っている。ここでポイントになるのは差別化戦略だが、扱う商材である薬そのもので差別化はできないので、当然各チェーンにとって顧客獲得数と業務の効率化で他社と差をつけていくことが重要になってくる。顧客をより多く獲得するのも、業務の効率化を進めるのも、主役となるのは、現場の薬剤師と彼らを統括してマネジメントする人たちである。調剤薬局は街に出てチラシを配ることも、各家庭を訪問してセールスをすることも法律上できない。店内にポップを貼りだすことはできるが、基本的には顧客が来店してからが勝負になる。他の調剤薬局よりも安い価格で、処方通りに素早く薬を出しリピーターを増やしていくしかない。つまりチェーンを構成する一店、一店が地域の「かかりつけ薬局」に成長することがポイントになるわけだが、このためには、一店舗ごと、地域ブロックの店舗群ごとにおいて綿密な数値による管理が必要になる。

 日本調剤は1980年創業の有力調剤薬局チェーンだ。「日本全国に、医師と薬剤師双方が専門家として患者さまの健康管理にあたる『医薬分業』を広める」ことを理念に掲げて、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の製造販売を行う「日本ジェネリック」や、薬剤師やMR(医薬品情報担当者)などの医療人に特化した労働派遣紹介、教育研修を行う「メディカルリソース」などの関連会社も経営している。

 日本調剤はチェーンの成長力を高めるために、積極的にITを活用している。トップの指示で、可能な限り必要なデータはシステムで管理し、各社員がそのデータを活用できるようにしている。

システム部用のツールが中核的存在に

「データの素早い把握の先に分析スピード向上という課題があった」と語る河野部長

 そんな日本調剤もデータ活用という面では問題を抱えていた。データウェアハウス製品を使って、売り上げデータなどの分析を行っていたが、いかんせん帳票にするまでに時間がかかり、新しい項目を付け加えようとしてもすぐに対応できない状態だった。ある期間までのデータ分析をしていると、整理する時間が必要以上にかかってしまい、正確な現状分析ができなくなっていたという。

 システム部の志村悟次長は次のように語る。「2000年当時で70店舗ありましたが、本部集中型で各店舗からデータが送られてきます。それらは定型の帳票ですから、ちょっと別の角度から分析しようにも通常送られてくるデータからは無理。システム部で必要なデータを店舗システムから抜いて作っていくことになる。ただし、それにも時間がかかり、ズレが生じてくる。人間系の力でいつまでも対応しているわけにもいかない、という課題がありました」

 また同システム部長の河野文隆氏は「全店舗の売り上げデータなどは、可能な限りリアルタイムに把握することはできましたが、それから先のデータ分析という面では、まさに人間系で苦労しながら対応していました。しかし、店舗数が早いペースで増加していたこともあり、早急に何らかの解決策を導き出さなければと考えていました。Excelのマクロで何とかこしらえていたものをもっと素早く効率的にできないものかと」

 そこで浮上してきたのがウイングアークテクノロジーズのDr.Sum EAだった。帳票システムで同社の製品を活用していた関係で、最初はシステム部の作業の簡略化のためのツールとして採用された。

「JP分析ダッシュボード」のトップ画面

 同社ではその後一層のIT化推進のために「JP分析ダッシュボード」を構築しようという計画が持ち上がった。各システムに散在しているデータを整理し、さまざまな数値分析結果をブラウザで閲覧できるようにしようというものだ。調剤薬局で扱うデータは次のようなものが考えられる。各店舗で処理された処方箋の枚数、売り上げ、薬剤の使用量、在庫量、薬剤師の生産性、KPIに基づく薬剤師、店舗の獲得ポイントとそのランキングなどだ。薬剤師の生産性などは、処方箋を受け付けてから、会計を済ませる時間はそれぞれ各薬剤師がID入力して、タイムスタンプが記録される。したがって、来店者がどれだけ待たされたかが明確になるわけだ。

 同社は2007年に「JP分析ダッシュボード」の構築を開始、Dr.Sum EAを分析ツールの中核にすえた。

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