マイクロソフト、Dynamics CRMをあらゆるアプリ開発の基盤にする新戦略を発表「MS製品の集大成に」

「Dynamics CRM」を企業内のさまざまなアプリケーションを開発するための基盤として提供する。

» 2009年05月29日 18時09分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 マイクロソフトは5月29日、CRMアプリケーション「Dynamics CRM」を企業内のさまざまなアプリケーションを開発するための基盤として提供する新戦略「XRM戦略」を発表した。ISVなどが、Dynamics CRMを基盤に業種別などのアプリケーションを開発しやすくなる。

 XRMのXには、サプライヤー管理や代理店管理など、業務を示すあらゆる言葉が入ることを意図している。Dynamics CRMを基盤に、ドラッグ&ドロップなどの手法を用いてビジネスアプリケーションを効率的に開発できるようにする。実態としては、Dynamics CRMの機能を異なるアプリケーション開発向けに「使いまわす」ようなイメージだ。

 同社はERP製品「Dynamics AX」も提供している。これとXRMとの関係について「ERPはまず会計ありきで、人事管理、生産管理、販売管理をオールインワンで提供している。多少重なるところはある」(同社)ものの、XRMとは異なるとしている。マイクロソフトはXRMを.NETやSQL Server、Office、Outlookといった同社製品の集大成と位置付けて融合を図っている。ISVによるDynamics CRMを基盤にした業種別アプリケーションの構築を促すことも視野に入れている。

 住友セメントシステム開発はDynamicsをベースにビルメンテナンス効率化ソフト「BM@FM for Dynamics」を開発した。ビル管理において、電球交換や空調トラブルなどに適切に対応し、内容を管理するといった機能を持つ。ビル管理業者向けにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)形式で提供するソフトだ。

 住友セメントシステム開発、FMソリューション部の山口浩二部長は「最初はスクラッチ開発をするつもりで、Dynamicsの利用は前提としていなかった」と話す。だが、マイクロソフトのソフトウェア+サービスの考え方に基づき、SaaSだけでなく設置型にも対応できる点を評価したという。社内の技術者が.NETの開発に慣れていたことや、ユーザーにとってOfficeのインタフェースを利用できる点も決め手になった。

 Dynamicsを使ったソフトウェアを開発するグレープシティによると、XRMの考え方を用いることで、例えば大学のWebサイト上で学生の就職実績などを公開する場合に、Dynamics CRMで管理している就職データをWebサービスのアーキテクチャを用いて取り出し、そのままサイト上に表示できる。CRMで管理するデータとWebサービスで疎結合するため、連携プログラムを組むことによるシステムの複雑化を避けられるとしている。

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