「言葉の市場」を攻略するニッチターゲティングキラーウェブを創る(3) ネットオフ(2/4 ページ)

» 2009年06月04日 08時00分 公開
[前野智純,ITmedia]

以下の記事は、前野智純著『キラーウェブ 儲かるウェブの裏側』の内容を再編集したものです


リピート率向上のカギはレコメンド力

image イーブックオフのWebサイト

 イーブックオフは2007年4月現在、月間約150万人が利用している。そのうちの70%はリピート訪問だ。同じ商品なら少しでも安く買いたいという消費者のニーズと、Webサイトを訪れるユーザーの満足度が反映されている。

 同社の場合、1500円以上の購入で送料が無料になる(2007年5月現在)。しかし、新品販売とは違い、商品当たりの単価が安く、検索した商品の在庫があるとは限らない。送料無料ラインに到達するのは平均6冊。中古による価格メリットを訴求しても、送料負担が必要になればそれが台無しになる。

 店頭販売とは違い、顧客の声を直接聞く機会は少ないが、データに現れているかご落ち(ショッピングカートに入れた後、決済せずに離脱すること)にこそ、消費者の不満が反映されている。そのため、何としても「かご落ち」の割合を減少させる必要があった。

 そこでネットオフが注力しているのが、レコメンド(お勧め)力の向上だ。例えば、若手ポップシンガーのCDをショッピングカートに入れた人には、同じシンガーの別の曲や同ジャンルのCD、過去の購買履歴に応じた商品などを勧める。リピート率の増加には、レコメンドが多大に影響している。

 リピート率の向上には、既存会員に対してこちらから押しかけていく施策の「プッシュ」も重要だ。プッシュ施策の最たる例が、電子メール配信だ。現にイーブックオフのリピートユーザーの多くは、配信された電子メールからサイトに訪れている。

 今後は、メール配信でもレコメンドの技術を応用しようとしている。特定の層の人たちに特定の商品を進めるピンポイントのプッシュだ。これにより、在庫の回転率が大幅に改善する。過去の購買履歴を分析し、「勘」には頼らないという施策を進めている。

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