IT用語はウチュウ語?――新人研修に思う悲しき女子ヘルプデスク物語(2/4 ページ)

» 2009年06月09日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

「IT用語は一般に通じない」ことを意識している人は少数派?

 週が空けた月曜日、始業までの少しの時間、お茶を飲みながら考えるわたし。

 わたしたちヘルプデスクを担当するスタッフが気を付けなければならないこととして、「普段使っている言葉が専門用語なのか一般用語なのかを意識する」ってことがある。

 友人との世間話では、「プロパティ」や「オブジェクト」といった言葉はまず使われないだろう。「ディレクトリ」もあやしい。「メニュー」にしたってわたしたちが使えば、ウィンドウの上にあったり画面の左にあったりして次にやる操作を選ぶモノ、という意味だけど、一般的には「レストランのメニュー」を想像されるのがオチだ。

 URLだって、一般的には「ホームページアドレス」のほうが通じやすい。つまり、相手に伝えたいことがあれば、用語を相手のレベル、というか相手が知っている世界に合わせて話さないといけない。そうしないと、話が通じなかったり、誤解が生じたりする。これって一般的なコミュニケーションにも当てはまるのだけれど。ITの世界は特にそう。

 ただ、どっぷりとITの世界にはまっている人にとって、いつも仕事で使っている言葉が専門用語なのか一般用語なのかの区別は付きにくいらしい。それどころか、自分たちが使っている言葉はすべての人に通じると思い込んでいるフシさえある。「この言葉は相手に通じるか?」ということを考えながら話す人は、わたしの感覚では少数派。

 例えば「デフォルト」という言葉なんかもそう。辞書的な意味は「特に指定しない場合にあらかじめ設定されている値」ってところか。念のために英和辞典をひいてみると、「債務不履行」という意味もあるらしい。知らなかった〜。

 わたしが時々訪れるレストランでは、ランチタイムに日替わりの「昼定食」を出している。ランチタイムに行くと必ずお店の人に「昼定食でよろしいですか?」とたずねられる。たいていは「じゃ、それで」と言うのだが、今日はパスタな気分だな、なんていう日には「いえ、パスタランチで」と注文をする。つまりこの店では、「昼定食がデフォルト」なのだろう。

 かといって、「昼定食でよろしいですか?」とたずねられた時に「デフォルトで」と答えても、通じることはない。実はいちど試してみたけれど、「え?」と聞き返されてしまった。それはそうよね……。ということは、「デフォルト」という言葉は一般には通じないってこと。そうだなあ、IT発で一般的になった言葉って、「アップグレード」とか「バージョンアップ」くらいかしら? そういえば「アップグレード」と「グレードアップ」にしたって、少し意味が違いますね――。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ