だから、ITの専門家だからといって、教えるのが上手かといえばそうでもない。Windows 95 が現役だった頃、“仮想メモリ”と“スワップファイル”の違いがよく分からなくて、型番だけで何でも分かるHさんに聞いたのだけれど、それが失敗の元。当時の、つまりまだまだ初心者のわたしにこう教えてくれたのです。
Hさん 仮想メモリとスワップファイル? それは、ハードから見たか、ソフトから見たかの違いだよ。
言われたわたしは、ただただ固まっていただけ。分からない、とさえ言えない。それが的を射た説明かどうかでさえ、判断できないのだから。当のHさんはというと、それだけの説明で十分だと判断したのか、固まったわたしを放り出してさっさと仕事に戻ってしまった。Hさんの背中を、「えーっとぉ……」という目線だけで追いかけたことを、今でも覚えているわたし……。
Hさんといえば、こんなこともあった。
わたし カーネルって何ですか?
Hさん カーネルはカーネルに決まっているじゃないか。
……とステキに一言で返してくれたっけ。でもこれは、まだマシなほう。
わたし ○×△って何ですか?
Hさん んー? そりゃ、あれだよ。
……とだけ返してくれたことも。もう何を聞いたか覚えていないくらい、回答のほうが印象的なのだ。
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