設立以来、戦略的な情報武装を進めてきたGDOのWebサイトは、大きな媒体力を生んでいる。
GDOは月間約1億2000万ページビューを誇り、ユニークユーザー数は290万人に上る。メディアの収益モデルは広告がメインで、ゴルフ関係以外に、自動車メーカーや旅行会社などの広告主を獲得している。2006年度の広告収入は約4億7000万円で、同社全体の売り上げの約6%、利益全体の14%を占めている。
世界最大級のオンラインゴルフショップに成長したECは、2006年度の売上高が約60億円となり、GDO全体の76%を占める。これは中規模のゴルフ専門量販チェーン店と並ぶ規模だ。
また、予約関連の売上高は同年14億6500万円で全体の18%を占める。手数料収入のため利益率は高く、全体の50%の利益がこの予約サービスで計上されている。
ページビューや売上額以上に特筆すべきことは、ユーザーの滞在時間である。一人平均で約21分をはじき出す。よほどコンテンツに魅力があるものでないと、ユーザーは長く滞在してくれない。数秒でページを閉じてしまう人がほとんどの中、21分という数字は驚異的だ。ちなみに、筆者がコンサルティングでかかわっているWebサイトの平均滞在時間は約7分である。
2007年4月現在、日本のスポーツカテゴリーサイトの利用者数トップ20の中に、GDOのサイトは2つ入っている。居並ぶ上位のサイトは、大手スポーツ新聞社のポータルサイトやプロ野球などの公式サイトである。GDOがこの位置にいることのすごさが現れている。
GDOのサイトは、時に「情報が多すぎる」という指摘も受ける。必要な情報だけを提供する方が分かりやすいという意見だ。ほかのメディアとのバランスを考えなければ、その意見も一理ある。しかし「さまざまなメディアの中のWeb」という位置づけと、「ユーザーが能動的に情報を受け取る」という媒体特性を考慮すると、徹底的に情報を提供するのは正しい選択だといえる。
石坂社長は「ネット販売においては、常に企業よりも顧客のほうが先行している」と言い、ユーザー中心に事業モデルを構築することを重要視している。トライシクルモデルはその現れだが、それが絶対的な解でないことも理解している。答えはひとつではない。「試験的でもいいから、徹底的に情報を出して市場の反応を見ることを繰り返すのが重要」(同氏)と、判断を市場に委ねる姿勢を貫く。
ユーザー中心に戦略を構築する上で欠かせないのは、アクセスログの解析だ。GDOでは、約20人のスタッフがログデータからユーザーの行動を分析している。この解析には非常に力を入れているが、一方でアンケート調査やグループインタビューなど、アナログ的な調査も並行している。
アンケートは約1万人の会員が回答する。質問内容はGDOのサービス内容全般にかかわるもので、約100項目ある。それを定量化して、今後のサービス改善に生かすという試みだ。現在、3カ月に一度アンケートを実施しているが、ユーザーへのインセンティブはポイントを付与する程度。それでも100項目の質問に答えてくれるユーザーが約1万人もいる。これはGDOに対する顧客の支持が高いことを示している。
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