先日、外資系企業のストレージ部門の責任者に少し話し合う時間をもらい、方針や見解を聞く機会を得た。その折に、企業ユーザーが使うストレージの容量に日米で大きな開きが出てきているとの話を聞いた。
これには心当たりがある。わたしはウェブ系の仕事をしている企業や業界団体と親しくしているが、日本の企業は全般的にインターネットに関する投資について米国企業と比べ、消極的だという認識がある。米国企業の場合、もともと国土が広大だという性質上、自社販売を志す企業は積極的なチャネル構築を進め、長い歴史を誇る通信販売、フランチャイズチェーン、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど流通に関するノウハウは米国で生まれた。
そのノウハウがインターネットの世界でも生きている。米企業のほとんどは、インターネット経由でのビジネスをいかに実施するかを考えている。加えて、オーバーヘッドコスト圧縮のため、ICT利用に彼らは非常に熱心だ。ICTに巨額な投資が必要なのは世界中いずこでも同じだが、米国はICTコスト圧縮のために合併や買収を繰り返す側面があることも見逃せない。
クラウドコンピューティングで話題になる巨大なデータセンターは、何も未知の技術の象徴というのではなく、既に米国で進んでいる企業サバイバルの象徴でもあるのだ。
オープン系かレガシーかという議論は不毛だ。レガシーシステム上で動いている業務は一般に企業が利用しているシステムの内、基幹系と呼ばれる業務にすぎない。確かに重要な業務であることは認めるが、企業が抱えるICT資産のほんの一部にすぎないことを認識すべきである。
むしろ、情報系とかネットワーク、OA系、コミュニケーション、技術・開発系、生産、流通、ウェブなどの方が企業にとって重要になりつつある。今となっては、顧客に直接触れる窓口系とか社内のコミュニケーションツールである電子メールシステムに障害が起きる方が、企業にとって被害が大きくなってきている。
真の問題は、メインフレームへの支出が情報化投資の多くを占めるため、全体の予算が硬直化していることにある。こちらの方が問題なのだ。これを解決するために、メインフレームリプレースメントが問題になるのだが、実際にはほかのシステムの重要性が高まってきている。メインフレームへの配慮は最小限にとどめる一方で、重要な他のシステムへの目配りを忘れることは市場の競争を勝ち抜いて生き残るためには許されないのである。
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