「Oracle Fusion Middleware 11g」の目玉はソーシャルネットワーキングと業務効率改善コミュニティー機能も

Fusion Middleware 11gに組み込まれた新たな要素は、社内ネットワークにまつわるさまざまな日常業務の簡素化を狙ったものだ。

» 2009年07月02日 15時50分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Oracleが発表した最新プラットフォーム「Fusion Middleware 11g」では、不況の中で業務プロセスの効率化を目指す企業のニーズに応える機能に加え、ソーシャルネットワーキングなどの新たな要素も採用された。

 Fusion Middleware 11gに組み込まれた新たな要素は、社内ネットワークにまつわるさまざまな日常業務(ITガバナンス、サービス指向セキュリティ、開発など)を簡素化することを狙ったものだ。これらの要素は5つのモジュラー型グループに分けられている。

Oracle SOA Suite 11g

 これはシステム、ユーザーおよび“ドキュメント主体型プロセス”を包括する単一プロセス型プラットフォームで、SOA(サービス指向アーキテクチャ)機能のライブラリを備えたEDA(イベント駆動型アーキテクチャ)を配備する。

Oracle WebLogic Suite 11g

 各種のOracleツールを利用した分析/自動化機能を業務プロセスに追加することにより、サーバのアップタイムと信頼性を向上する。

Oracle Identity Management 11g

 統合型認証管理スイート。Deployment AcceleratorsやUniversal Federation Frameworkなどのツールのほか、OracleのADF(Application Development Framework)Facesをベースとした統合型ユーザーインタフェースを備える。

Oracle Development Tools

 Oracle JDeveloper、Oracle Application Development Framework、Oracle TopLinkなどが含まれる。

Oracle WebCenter Suite 11g

 これにはソーシャルネットワーキングアプリケーションのOracle WebCenter Spacesが含まれる。このアプリケーションは、ドキュメントや業務情報の交換、共有が可能なコミュニティーを作成する機能を提供する。

 Salesforce.comがTwitterと連係したような形で単独のソーシャルネットワーキングアプリケーションやサイトがOracleのソフトウェアと連係するわけではないが、Oracleがソーシャルネットワーキング要素を自社の最新のミドルウェアに組み込んだことは、開発者たちがエンタープライズ環境においてソーシャルネットワーキングが重要であると見なしていることを示すものだ。

 Oracleでサーバ技術を担当するトーマス・クリアン上級副社長は、新プラットフォームのエンタープライズポータル/ソーシャルコンピューティング/Webポータル機能は重要な展開であるとしており、米eWEEKなどのメディアとの質疑応答セッションでは「これらの機能は、従業員同士が交流することを可能にし、彼らに必要な情報交換プロセスを提供する」と述べた。

 クリアン氏によると、もう1つの重要なメリットを提供するのが同プラットフォームのアプリケーショングリッドと認証管理機能であり、「これらは運用環境での配備コストの削減を可能にする」という。「アプリケーショングリッドはマシンやストレージのプールを束ねてクラスタ化することにより、優れたパフォーマンスと信頼性を実現する」と同氏は付け加えた。

 世界的不況の中、企業にとってはもちろんコスト削減が大きな課題だ。こういった状況を受け、Middleware 11gでは従来版とほぼ同じ価格構成となっている。支出を切り詰めている企業がアップグレードする上で障害にならないようにするためだ。「価格が高いと、ユーザーが新バージョンにアップグレードするのが遅くなる」とクリアン氏は説明する。

 Oracleはこの新プラットフォームの普及に大きな期待を寄せているようだ。

 Oracleが7月1日にワシントンD.C.でのプレゼンテーションでFusion Middleware 11gのリリースを発表した際、同社のチャールズ・フィリップス社長は「これは当社の技術配備戦略全般の基盤となる主要製品ラインの重要なリリースである」と述べた。

 従来版のFusion Middlewareをベースとするこの最新リリースは、仮想化が進むデータセンターに最適化されており、リアルタイム情報の継続的配信機能に加え、俊敏なビジネスアプリケーションのためのインフラを企業に提供することに重点が置かれている。

 Middleware 11gでは開発者のニーズも考慮されており、特にリッチインターネットアプリケーションの開発、アプリケーションのカスタマイズ、システム統合などに関連した機能強化が図られた。開発ツールも充実しており、共通メタデータ管理やALM(アプリケーションライフサイクル管理)などにも対応する。

 Middleware 11gは、多くのエンタープライズデータセンターに見られる最新技術も活用する。

 「この製品は、L1やL2キャッシュなどの新たなレベルのキャッシュを搭載したマルチコアプロセッサの能力を生かすことができる。64ビットアドレッシングも活用する。これにより、巨大なデータ/メモリ空間へのアドレッシングが可能になる」とフィリップス氏はプレゼンテーションで語った。

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