GoogleのWebサービスが有料になったらそれでも使いますか?(2/2 ページ)

» 2009年07月13日 17時09分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
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 エンダール氏は、支配的ベンダー(Microsoft)を押しのけ、独占的地位(iPod)を確保する方法を知っている企業の代表例としてAppleを挙げている。それはともかく、Googleの共同創業者であるサーゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏があらゆる形態の無償Webサービスを放棄し、コンシューマーデバイスを販売すると考えるだけで忌まわしい気持ちになる。

 New York Timesのハンセル氏も「同社がGoogleというブランドにお金を払うよう求めるようになったら、どうなるだろうか。Googleが自社のWebサービスを有償化することを決めたとしよう。ただし、同社の検索サービスの有償化は絶対にあり得ない。Google本社で従業員が無料ビュッフェを楽しめるのも、年間200億ドルの検索広告収入のおかげなのだ。

 GoogleはChrome OSをオープンソースとして発表することにより、同ソフトウェアに対する資金的責任をAcer、Adobe、Asus、Freescale、Hewlett-Packard、Lenovo、Qualcomm、Texas Instruments、東芝などのNetbookメーカーに意図的に押しつけた。Googleによると、これらの企業はChrome OSベースのコンピュータを開発中だという。

 しかしGoogleが1ユーザー当たり年間50ドルのプレミアム版だけでなく、Google Apps全体を有償化し、さらに一般ユーザーによるGmailの利用にも課金し始めたらどうなるだろうか。5年前のリリース当初からGmailを利用し、地理的に離れた場所にあるGoogleのサーバに大量のデータを保管している古くからのユーザーにとって、Gmailはなくてはならぬ存在となっている。

 Googleが課金するとすれば、どの程度の金額を妥当と考えるのだろうか。月額3ドルというところだろうか。DocsなどのGoogle Appsはどうだろうか。1つのファイルに付き何セント、あるいはワープロ/プレゼンテーション/表計算ファイルのストレージ1Gバイトに付き月額何ドルといった料金設定をするのだろうか。

 こういった状況を想像するのは不愉快極まりない。Googleは何年もの間、ユーザーに無償で提供してきたものを、あえて有償化するのだろうか。それは契約違反ではないだろうか。ユーザーはGoogleアカウントにログインすることで、Webサービスを利用するのと引き替えにGoogleが広告を配信することに同意しているのではないだろうか。これはGmailなどのサービスを利用する際にユーザーが暗黙に了解する合意事項ではないのだろうか。

 無償製品に伴う問題は、Webサービスを最初から無償で提供した場合、その後はどんな価格を設定しても魅力的に思われないことだ。コンシューマーはばかにされた気になったり、だまされたように感じたりするのだ。

 仮にコンシューマーが有料化に納得したとしても、Googleが現在提供しているものよりも高い品質のサービスを求めるだろう。しかしGoogleのサービスは、コンシューマーユーザーと有償ユーザーの区別なく、今でも頻繁に障害が起きている。

 GoogleのWebサービスがユーザーにとってどれほど重要になったかにかかわらず、Googleには無償という足かせがはめられている。ダラス・マーベリックス(NBAのチーム)のオーナーでブロガーのマーク・キューバン氏は「無償サービスでスタートして大成功した場合、無償という制約が付いてまわる」と指摘する。

 Googleでさえも、無償という重荷にいつか耐えられなくなるかもしれない。それはいつだろうか。

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