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» 2009年07月13日 19時42分 UPDATE

Imagine Cup 2009 Report:世界との差が照らし出す勝利への布石 (1/2)

学生向けの技術コンテスト「Imagine Cup 2009」が終わった。大会を通じて明らかになった日本と世界の間にある壁――。これを乗り越えることで、近い将来、日本代表が世界で勝ち抜く日が来るはずだ。

[藤村能光,ITmedia]

 現地時間の7月7日、米Microsoftが全世界の学生を対象にエジプトで開催していた技術コンテスト「Imagine Cup 2009」が終わった。国連が「ミレニアム開発目標」として掲げる8つの社会問題を技術で解決することをテーマに、9つの部門で世界124超の国・地域の学生444人がソリューションを競い合った。

 日本チームとして、「ソフトウェアデザイン部門」に出場した同志社大学と京都大学の混合チーム「NISLab++」、「組み込み開発部門」に出た国立東京工業高等専門学校のチーム「CLFS」、「写真部門」にノミネートされた武蔵野美術大学の寺田志織さんの3組が戦いの場に身を投じた。結果は既報の通り、寺田さんが写真部門で世界3位となる快挙を果たしたものの、NISLab++、CLFSは残念ながら一次予選で敗退した。

 同コンテストが始まったのは2003年。8回目を迎えた今年の大会では、技術力や作品の完成度、プレゼンテーションのスキルなど、すべての審査項目を高い水準で満たしたソリューションが決勝に残った。予選突破の水準が上がっており、アイデア勝負の発表では本戦を勝ち抜けなくなっている。日本代表として戦ったNISLab++、そして同チームを支えたメンターや関係者の話から、Imagine Cupで勝ち抜くために必要となる要素が浮かんできた。

Imagine Cup 2009の閉会式 ピラミッドを背景に、Imagine Cup 2009の閉会式が行われた。

目覚ましい世界チームの進化

 「ブラジルは優れていると感じたが、ほかのチームを見ても特別な違いはなかった」――。NISLab++でプレゼンターを務めた前山晋哉さんは振り返る。関係者の間でも、NISLab++が発表した電子教科書配信プラットフォーム「PolyBooks」は決勝に進出できる水準に仕上がったソリューションだった。

 だがそれにも増して、世界チームの進化が目覚ましかった。例えば世界3位のブラジルが発表した「Virtual Dreams」。これは遠隔地から患者を識別したり、カルテをWeb上で閲覧したりできる健康管理システムだ。ブラジルは同システムの実現に当たり、データベースの機能をネットワーク経由で活用できる「Azure SQL Data Services」を使っている。クラウド向けOS「Windows Azure」に関連するサービスはまだβ公開の段階だが、既にこうした技術を実装している点は発表の中でも際立っていた。

 Imagine Cupで日本のソフトウェアデザイン部門のチームを担当したマイクロソフトの渡辺弘之氏は「最新の技術を積極的に採用する傾向は、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国)などの国で著しい。審査員の評価対象にもなりうる」と話している。

1年では勝負できない

 構想したソリューションの実現可能性も厳しく問われる。NISLab++の発表では、いわゆる「実地データ」を取り、ソリューションの実用性を数字で裏付けるところにまで手が回らなかった。一方で海外の発表に目を移すと、実地データの拡充に加え、ビジネスモデルまでを計画しているチームが目立った。「昨年優勝したオーストラリアのソリューションは、すぐに企業として事業を展開できるレベルにあった」(関係者)

 「1年ではなく2、3年の期間でソリューションを仕上げる必要がある」と話すのは、企業メンターとしてNISLab++のソリューション開発に協力した学びingの下大園貞寛氏だ。技術要素では世界に負けていないと前置きをしつつ、「ユーザーのニーズを深く調べ、ソリューションに反映させないと世界では勝てない」と力を込める。

 国連など国の機関を巻き込んで取り組まないと、世界チームには立ち向かえないという一面も見えてきた。今回の世界大会において、国をあげた支援を受けているチームや、大統領から学生に激励のメールが来たチームもあったという。国が率先して学生を支援しなくては、世界とのソリューションの差が開いてしまう可能性が出てきている。

 NISLab++にメンター企業が就いたのは、同チームが日本代表の切符を手に入れてから。また日本では、学業に支障をきたすといった理由から、Imagine Cup出場を手厚く支援しない学校も少なくないという。世界で戦うには、周りの環境を巻き込み、理解をしてもらう働きかけを学生から発信していくことが求められる。

image Imagine CupではおなじみとなったMicrosoft 教育分野担当 シニアディレクター ジョー・ウィルソン氏のプレゼン。「ここにいる君たちみんなが勝者だ」と学生に熱い言葉を贈った
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