Microsoftのオンライン版Office、差別化ポイントは「オンプレミス」余裕で“歓迎”のGoogleに対抗するには(2/2 ページ)

» 2009年07月14日 18時07分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
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 Microsoftの動きに対してGoogleは自信たっぷりの反応を示しているが、企業が自社のサーバ上でWebアプリケーションをホスティングできるという方式は、SaaS普及の障害を取り払う可能性もある。重要な業務データのコントロールをソフトウェアベンダーにゆだねるのは不安だという理由で、Google AppsやZohoなどのSaaSコラボレーションスイートの利用をためらっている企業も少なくない。

 Forrester Researchのアナリスト、シェリー・マクリーシュ氏も、これはMicrosoftが対抗する上で重要な差別化要因になると考えている。

 「企業が自社のデータのコントロールを保持したいと考えているのは間違いない。特に、金融サービス分野のようにリスクを嫌う業界ではそうだ」とマクリーシュ氏は語る。「Microsoftのアプローチは、インフォメーションワーカーにどういった形でWebアクセスを提供するかを企業自身が決定できるものであり、これは自社のデータのコントロールを手放すのをためらっている多くの企業に訴求するだろう」

 またマクリーシュ氏は、GoogleとZohoがMicrosoftに倣って「セルフホスティング」方式を採用すると予想する。SaaS市場で両社のシェアを奪おうとするMicrosoftの追撃を阻止するためだ。「両社がアプリケーションとエンタープライズ戦略の成熟化を進めるには、コントロールと柔軟性に対するこういった要望に対応する必要がある」

 「しかしOffice Webの2つの企業向け配布オプションがGoogleとZohoに対抗する選択肢を提供するとはいえ、MicrosoftがWebベースのアプリケーション分野に進出することは、同社にとってリスクでもある」とマクリーシュ氏は指摘する。

 Microsoftは、Officeアプリケーション(Word、PowerPoint、Excel、OneNote)が含まれるCDを約150ドルで提供するというビジネスを展開してきた。これらのソフトウェアのWebベース版を無償で提供することは、その売り上げに悪影響を及ぼす可能性がある。つまり、MicrosoftはGoogleとZohoと競争するだけでなく、自分自身とも競争することになるのだ。

 Zohoのスリダー・ベンブーCEOはeWEEKの取材に対し、電子メールで次のように答えている。

 「Microsoftはオンライン製品でどこまで行きたいのだろうか。彼らは明らかにリスクを認識している。これには、約160億ドルの売り上げ(そしてほぼ同額の粗利益)が絡んでいるのだ。これは巨大なソフトウェア利権だ。160億ドルの売り上げおよび利益を守るのは不可能だとわれわれは考えているが、スティーブ・バルマー氏はその事実を株主に知らせるCEOにはなりたくないだろう」

 さらにベンブー氏は「Microsoftはプロダクティビティ製品のオンライン化に着手したばかりだが、Zohoでは自社のSaaSコラボレーションツールを、CRM、ビジネスインテリジェンス、プロジェクト管理などのビジネスアプリケーションに連係する取り組みを進めるつもりだ」と述べている。

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