BI市場の活性化で不景気を吹き飛ばせWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年07月21日 08時26分 公開
[松岡功ITmedia]
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日本IBMや日本オラクルも新サービスを提供

 新サービスの日本での展開については、「当初は金融サービス、通信・メディア、小売り・製造・流通といった業界をターゲットにサービスを展開する。金融サービスではリスク管理やコンプライアンス、顧客維持と利益率分析など、通信・メディアではサービス保証分析や運用最適化、顧客価値管理など、小売り・製造・流通ではサプライチェーンの可視化やマーチャンダイジングなどへの適用を提案していく」(羽田宏HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部BIS事業本部BIソリューション部シニア・アーキテクト)という。

 一方、日本HPの新サービスに先駆けて、今月の8日に日本IBM、10日に日本オラクルと富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)が、それぞれBIの活用に向けた支援サービスを発表した。

 日本IBMが発表したのは、最先端のビジネス分析やビジネス最適化の支援を行う「Business Analytics and Optimization(BAO)」。この新サービスは、同社が提供するBIツールや数理分析などのソフトウェア、サーバやストレージなどのハードウェアを、金融、製造、流通といった業種別にメニュー化しているのが特徴だ。

 また、新サービスのデモやコンサルティングを行う拠点「IBMアナリティクス・ソリューション・センター」も、IBMビジネスコンサルティングサービスの丸の内オフィスおよび日本IBM大和事業所内に設けた。

 日本オラクルと富士通BSCが発表したのは、BI導入を検討している企業に向けて情報活用のコンセプトやプロトタイプの構築を支援する「情報活用アセスメントサービス on ORACLE」。日本オラクルの分析フレームワークをもとに、これまでの多くのBIシステム構築で培った富士通BSCのノウハウを融合して共同開発したアセスメントサービスである。

 この新サービスは、オラクルのBIシステム導入を検討している企業に、業務の情報活用における問題分析と解決指針の明確化、さらに実際の利用イメージの検証までを原則として無償で提供するとしている。

 今月に入って有力ベンダーがにわかに動き出したBI市場。経済情勢は未だ厳しい状態が続いているが、ビジネスの“攻め”の道具であるBIの市場が活性化すれば、景況にも好影響を与えそうだ。

 日本HPの山口事業本部長は会見で、「BIは売り上げ拡大の道具として注目されているが、同時にビジネスを可視化してコスト削減にも役立てることができる。そのメリットも一層強調していきたい」とも語った。この点はまさにベンダーの提案力が問われるところだろう。活気のある提案合戦を大いに期待したい。

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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