クラウドバーストの衝撃伴大作の木漏れ日(2/3 ページ)

» 2009年07月24日 18時37分 公開
[伴大作,ITmedia]

さまざまなクラウド

 一体全体、クラウドとは何だ。クラウドを提唱したGoogleのエリック・シュミットCEOも嘆いているに違いない。でも、それも、彼がIBMと組んだことが事の発端なのだから仕方がないのかもしれないが……。

 クラウドは本来インターネット上の「シェアドサービス」を意味する言葉であったはずだ。GmailとかGoogle Gear、AmazonのEC2はAPIを公開し、低額で自由にアプリケーションを構築できる。これらはすべてインターネットを前提としたシェアード・サービスにほかならない。CPU、メモリ、ストレージはクラウド事業者が準備するものを共同で利用するのが前提だ。

 これに対し、1つの軸でパブリッククラウド、エンタープライズクラウド、プライベートクラウド、ハイブリッド・クラウド(この辺になると何が何やらさっぱり不明だ)という分類がある。これは、インターネットを前提としていない。ただ、クラウドテクノロジーをサーバテクノロジーに応用したにすぎない。

 もう1つの軸として、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)、IaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)という切り分けがある。こちらは、サービスの内容をアプリケーションレベル、システムレベル、基盤レベルとサービスレベルで分類している。データセンターソリューション、エンタープライズソリューション(ある意味でメインフレームやUNIXサーバの延長線)すべてを包含し、クラウドと称している。

 今回IBMが発表したのは、プライベートクラウドに属する製品である。従って、われわれが一般に思い描くGmailをはじめとしたパブリッククラウドとはまったく違った世界の代物だ。しかし、製品の完成度と有用性は非常に高い。クラウドの概念を常に悩ませてきた「一体全体何に使うのか」という問いに対しても、明快な回答を準備している。

 クラウドバーストはWeb化の流れの中で、最高のプラットフォームとして位置付けられるだろう。つまり、時代を画するマシンとなるに違いない。

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