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» 2009年07月31日 08時00分 UPDATE

使いこなしに応えるFileMaker:患者のための“手作りデータベース”――札幌市 もなみクリニック (2/2)

[岡田靖,ITmedia]
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DB連携は受付から会計までを網羅

患者に関する多彩な情報を網羅したDB構成 患者に関する多彩な情報を網羅したDB構成

 電子カルテシステムを独自に開発している開業医も、世の中には存在する。つまり必ずしも不可能だというわけではないが、もなみクリニックでは、あくまでも自作するのは業務支援システムにとどめる方針のようだ。

 「毎年のように診療点数が変わり、時には体系そのものも、大きく変更されます。しかも、4月から適用される基準の詳細が3月にならないと分からないことがあるなど、準備期間があまりに短すぎる。レセコンの開発元でも、寝ずに作業して対応していると聞くことがあります。クリニック単独で開発・運用するには、電子カルテは荷が重いと考えています」と山本氏は分析する。

 むしろ、FileMakerの手頃なコストとほどほどの開発負担で、適度な業務効率化を実現し、効果的に医療サービスの質を高めることが、もなみクリニックの狙いといえよう。


膨大な数のデータベースのリレーション 膨大な数のデータベースのリレーション

 とはいえ、もなみクリニックのシステムは、とても自作とは思えないほどのこだわりようだ。クリニック内で使われているデータベースの数は数十にのぼり、それぞれが複雑に連携し合って、受付から診察、会計まで一連の業務に対応している。先の訪問患者の資料のように、既存データを別の方法で集計するようなケースなら迅速に対応できる。

 「現在では、クリニック内にある薬局のシステムだけが別になっているため、そこを連携していくことが目下の課題です。ほかはFileMaker 10 Server上にあるのですが、薬局のDBだけがバージョン6のスタンドアロン環境なのです。ここが連携できれば、全ての業務の連携が実現します。事務作業を短縮することで患者さんの待ち時間を減らしていけるはずです」(犬養氏)

 もなみクリニックが院内薬局を設けているのは、患者に移動を強いないようにするため。一般的に院内処方は、院外の薬局より報酬が低く、また薬剤師を常駐させておく必要もあり、クリニック経営上の負担は大きくなる。しかし北海道という土地柄、冬の寒い中を高齢者が出歩く必要をできるだけ減らしたいという犬養氏の考えで、院内薬局を維持してきた。クリニック内だけで診察から処方、会計まで完結するようにし、さらにそれぞれの段階での待ち時間を可能な限り短縮することで、患者の負担を軽くしようとしているのだ。

さらなる活用のため、スタッフのスキルアップに期待

 もなみクリニックにおけるFileMakerの適用範囲はさらに広がりを見せる。例えば、CTスキャナやX線撮影などの医療画像についても、完全に電子化してあり、FileMaker上のデータベースと連携させて扱おうと検討中だという。

 「今は、DICOM(医療画像用の標準規格)対応の画像サーバと、それを高速に閲覧できる『OsiriX』というソフトを併用しています。このOsiriXはフリーながら高機能なので愛用していますが、ODBC接続も可能ということなので、FileMakerからの接続も可能なはず。勉強しつつ、挑戦していこうと思っています」(犬養氏)

 また、犬養氏は、スタッフのさらなる使いこなしを期待している。現在FileMakerを使いこなしているスタッフは、山本氏と白井氏のほか、ソーシャルワーカー1名ほどだという。それをほかのスタッフにも拡大していけたら、というのだ。

 「FileMakerは達成感もあるし、使いこなせば応えてくれるツールです。わたし自身、『FM-Hokkaido.net』というユーザー組織に、とても助けられました。難度の高いDB構築だと思っていたものでも、ちょっとしたヒントがブレークスルーになり、クリアできることも多い。使いこなしと活用の幅を、さらに広げるつもりです」(犬養氏)

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