チームワークは7人が限界?――場のデザインの初歩を学ぶ「脱KY」を図る情報コントロール術(2/2 ページ)

» 2009年08月13日 08時00分 公開
[野水克也(サイボウズ),ITmedia]
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ベストなチームワークは7人まで?

 やれやれ。彼も、やっと聞く気になってくれたようだ。昔の自分なら、そのまま熱くなって口ゲンカモードに発展するところだったが、わたしのコミュニケーションのスキルも、少しはあがったのかな。

わたし では、話を小さなところへ戻して、いわゆる「会議」を例に説明しよう。議論が盛り上がる会議と盛り上がらない会議があるけど、会議の適正人数って知っているかい?

A夫 う〜ん、だいたい4、5人くらいか?

わたし なんだ、分かってるじゃん。チームワークを研究した学者の実験では「7人」までが、効率的な1チームの人数単位だそうだ。それ以上になると会議でもグループでも発言が停滞し、議論に参加しない人が生まれ、共同作業における生産性も下がるらしい。

A夫 なるほど、グループウェアもそうなのかな?

わたし その通り! 掲示板ではなかなか議論には発展しないのは、そこが理由だね。例えば社長は、そもそも大勢の前でしゃべるのが重要な仕事だから、掲示板でも気軽に発言できるけれど、読んでいるほうは、そうはいかない。普通サラリーマンが、課長を飛び越えて社長に物申すなんてスタンドプレーは、なかなかできないだろう?

A夫 確かに……。

わたし 会社の業績が良ければ、場の雰囲気もアゲアゲだから遠慮なく発言できても、調子が悪くなるとそうはいかない。その場合、「場」の単位をコントロール可能なところまで分解すればいいんだ。

A夫 例えばどのように?

わたし そうだね。僕らの同期は、皆いい年になっているから、5人やそこらの部下や後輩はいるだろう。彼らをまず取り込むべきじゃないかな。グループウェアのアクセス権機能をちゃんと使って、同期だけとかリーダーだけの社内メールをまず立ち上げる。そこで、彼らから上がった悩みを共有するのがいいだろう。

A夫 なるほど。全社掲示板にはアクセス権がないから、誰が見ているか分からないし、なかなか意見も出ないけど、社内メールなら安心して意見できるね。しかも気心が知れている同期ならやりやすい。

わたし それと、情報システム管理者としてできることは、例えばチーム内だけのアクセス限定掲示板を全社的に作ってあげるとか、リーダーや課長だけの横断社内メールを作ってあげるとかするといい。人数が7人程度になるようにコントロールして、まずはそこでみんなの気持ちが1つであることを共有しなくちゃね。

A夫 だけど、もしその掲示板が荒れちゃったら、どうしたらいいんだろう?

わたし その場合、「対人関係のスキル」が重要になってくるね。


 ただ酒も楽ではないな。この調子だと、勉強してきたノウハウを根こそぎ持っていかれそうだ。まあ、ほかならぬA夫のためだし、仕方ないか……。

 というわけで次回は「対人関係のスキル」グループウェア編について説明しよう。

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