政府の共通プラットフォーム化整備において期待される効果は、システムの統合や集約化による「コスト削減」、標準化や共通化による「行政サービス・事務処理の効率性向上」など。統合・集約化の効果については以下の図のとおりだ。「SaaSレベル」「PaaSレベル」「HaaSレベル」とレイヤー別に分けて整理している。現行の共同利用システム基盤では、「PaaSレベル」においてOSとミドルウエア、アプリケーション開発環境と実行環境などが共通化されておらず、SaaSレベルにおいては省庁おのおのが独自のアプリケーション運用管理している。
「霞が関クラウド(仮称)」の推進に当たっては検討すべき事項も山積している。「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会(第2回)」の中では以下の5点をあげている。
第3回の研究会(7月17日開催)では、対象とする業務・システムやデータ連携の実装方法、個人情報などの扱いについても検討課題として挙げられた。整備スケジュールにおいては、平成24年からの段階的な運用を目指す。平成22年度に要求仕様を明確化し、平成23年度から設計・開発に着手することが必要であるとしている。
第4回の研究会(7月27日開催)では、これまでの検討内容をまとめた「政府情報システム整備のグランドデザイン骨子(案)」が公表され、平成22年1月をめどに最終報告書を取りまとめる予定だ。
「霞が関クラウド(仮称)」構想の具体化に当たっては、技術面の課題だけでなく、共通プラットフォーム所管府省、役割分担、そして管理運用主体など、運用面において整理していくべき事項も多い。これまで各府省が独自のシステム運用をしてきたケースが多く、全府省横断的な強力な推進がなければ、絵に描いた餅に終わってしまうという危険性もはらんでいる。
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