このセクションでは、ライセンスの選択方法について手っ取り早く大ざっぱに説明します。
このセクションでは、ライセンスの選択方法について手っ取り早く大ざっぱに説明します。個々のライセンスについての法的な意味合いやほかのフリーソフトウェアと組み合わせて使用する際に出てくる影響などの詳細は章9.ライセンス、著作権、特許をご覧ください。
世の中には、フリーソフトウェア用の優れたライセンスがたくさんあります。ここでは、そのほとんどについては取り上げません。なぜならそれらは特定の人や組織の法的な需要を満たすためだけに書かれたものだったり、あなたのプロジェクトには適切でないものだったりするからです。ここで取り上げるのは、よく用いられているものに限定します。ほとんどの場合は、ここで取り上げたものの中からライセンスを選択することになるでしょう。
あなたのプロジェクトのコードが独占的ソフトウェアに流用されることが気にならないのなら、MIT/Xスタイルのライセンスを使用しましょう。これは必要最小限のことのみを記したライセンスです。このライセンスは、名目上の著作権(実際には複製を制限しません)と無保証であるということだけを明記するシンプルなものです。詳細はMIT/X Window Systemライセンス項を参照してください。
あなたのプロジェクトのコードが独占的ソフトウェアに流用されることが気にいらないのなら、GNU General Public Licenseを使用しましょう。GPLは、おそらく現在世界中でいちばんよく知られているフリーソフトウェアライセンスです。これは最大の利点です。というのも、プロジェクトに参加しようと考えているユーザーの多くはこのライセンスを知っており、そのライセンスについて学習する手間が省けるからです。詳細は、章9.ライセンス、著作権、特許のGPL項を参照してください。
ユーザーがあなたのコードとネットワーク越しにやり取りする場合――つまり、ソフトウェアがネットワーク上でホストされたサービスの一部である場合は――GNU Affero GPLの利用を検討してください。詳しくは、章9.ライセンス、著作権、特許のGNU Affero GPL:サーバサイドにあるコード向けのGNU GPLを参照してください。
適用するライセンスを決めたら、それをプロジェクトのトップページに記述します。実際のライセンスの本文をここで示す必要はありません。単にライセンスの名前を示すだけにしておき、ライセンスの本文は別のページに置いてそこにリンクするようにしましょう。
これにより、そのソフトウェアをどのようなライセンスの下で提供するつもりなのかを示すことはできます。しかし、法的な側面からみるとこれだけでは不十分です。法的な面を考えると、ソフトウェア自身にライセンスが含まれていなければなりません。標準的な方法は、ライセンスの全文を含んだテキストファイルCOPYING(あるいはLICENSE)をソフトウェアに同梱し、それと同時に各ソースファイルの先頭に簡単な説明を付加します。この説明に含めるのは、著作権の発生した日付や著作権の保持者、ライセンス名、そしてライセンスの全文がどこで取得できるかなどです。
これにはさまざまなパターンがあります。ここでは、1つの例としてGNU GPLを見てみましょう。各ソースファイルの先頭には、次のような説明を付加します。
Copyright (C) <年> <作者名>
This program is free software: you can redistribute it and/or modify
it under the terms of the GNU General Public License as published by
the Free Software Foundation; either version 3 of the License, or
(at your option) any later version.
This program is distributed in the hope that it will be useful,
but WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of
MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. See the
GNU General Public License for more details.
You should have received a copy of the GNU General Public License
along with this program. If not, see
この文面では、ライセンスの全文がプログラムに同梱されているファイルCOPYINGに存在することは明記されていません。しかし、通常はこの名前のファイルを使用することになります(上の文面を変更して、このファイル名を明記するようにしてもかまいません)。このテンプレートには、ライセンスのコピーを取得するための手紙のあて先も記載されています。これ以外の一般的な方法としては、ライセンスの本文を記載したWebページへのリンクを用意するというものもあります。あなたの自己判断で、ライセンスのコピーが最も恒常的に存在すると思われる場所を使用するようにしましょう。例えば、あなたのプロジェクトのWebサイト上のどこかでもかまいません。一般的には、各ソースファイル中に含める注意書きは上のものとまったく同じである必要はありません。著作権保有者と日付、ライセンスの名前、そしてライセンスの全文がどこで取得できるのかといったことが含まれていればいいのです。
製作著作 © 2005, 2006, 2007, 2008, 2009 Karl Fogel, 高木正弘, Yoshinari Takaoka(a.k.a mumumu), under a CreativeCommons Attribution-ShareAlike (表示・継承) license (3.0, 2.1-jp)
よいフリーソフトウェアを作ることは本質的に価値のある目標です。その方法を模索している読者の皆さんが、本連載「オープンソースソフトウェアの育て方」で何かのヒントを得てくだされば幸いです。
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