コミュニケーションを促進する技術的な仕組みオープンソースソフトウェアの育て方(2/2 ページ)

» 2009年09月01日 00時00分 公開
[Karl Fogel, ]
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プロジェクトに必要なもの

 ほとんどのオープンソースプロジェクトは、情報管理用のツールとして少なくとも以下のようなものを用意しています。

  • Webサイト

 プロジェクトについての情報を、管理者側から一般に向けて公開する場所です。また、プロジェクトで使用するそのほかのツールについての管理用インタフェースもここで提供します。

  • メーリングリスト

 通常は、そのプロジェクトにおける最も活発な議論の場となります。また、議論の「記録媒体」としての意味合いもあります。

  • バージョン管理システム

 開発者が、コードの変更点を追いかけやすくするものです。変更内容を元に戻したり、ほかに移植したりもできます。これを見ると、コードに何が起こっているのかを誰もが知ることができます。

  • バグ追跡システム

 開発者が自分の作業内容を確認したり、ほかの開発者と作業を調整したり、リリース時期の予定を立てたりするために用います。特定のバグの状況や関連情報(再現手順など)について、誰もが調べられるようになります。バグだけに限らず、やるべき作業やリリース時期、新機能の追加などについてもここで扱うことがあります。

  • リアルタイムチャット

 ちょっとした議論や質問のやり取りを行う場です。議論の内容がアーカイブされないこともあります。

 ここで挙げたツールはどれも異なるニーズを満たしますが、その機能には相関性があります。また、各種ツール群は協調して動作させなければなりません。これ以降では、その方法について考えます。また、より重要なこととして、メンバーにそれを使ってもらうにはどうすればいいのかも説明します。Webサイトについての議論は後回しにします。Webサイトは、独立したツールというよりはほかのツールを組み合わせるための接着剤のようなものだからです。

 どんなツールを選択しようかといった問題に悩まされたくない場合は、でき合いのホスティングサイトを使用するといいでしょう。たいていはパッケージ化されたWebサイトのテンプレートが用意されており、フリーソフトウェアプロジェクトの運営に必要なツールもひととおりそろっているはずです。本章の後半のツールがひととおりそろったホスティングサイト項で、ホスティングサイトの利点と欠点を取り上げます。

著者:Fogel Karl

翻訳者:高木 正弘

翻訳者:Takaoka Yoshinari(a.k.a mumumu)

製作著作 © 2005, 2006, 2007, 2008, 2009 Karl Fogel, 高木正弘, Yoshinari Takaoka(a.k.a mumumu), under a CreativeCommons Attribution-ShareAlike (表示・継承) license (3.0, 2.1-jp)


よいフリーソフトウェアを作ることは本質的に価値のある目標です。その方法を模索している読者の皆さんが、本連載「オープンソースソフトウェアの育て方」で何かのヒントを得てくだされば幸いです。


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