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» 2009年09月08日 13時08分 UPDATE

“より簡単”な使い勝手をいかに実現するか:企業ITの複雑性に立ち向かう仮想化技術の神髄――CitrixのテンプルトンCEO (1/2)

企業のITシステムが抱える複雑性という課題に対し、それを解消するアプローチが仮想化であると米Citrixのテンプルトン社長兼CEO。仮想化技術の真理とは何かを同氏が語った。

[岡田靖,ITmedia]

 「われわれはテクノロジーを好む。しかし、テクノロジーはそれを用いてビジネスの価値に役立ったときにこそ価値を発揮する」――このほど国内メディアと会見した米Citrix Systemsのマーク・テンプルトン社長兼CEOは、テクノロジーの意味をこのように語った。同氏はこれまでに世界中の顧客企業と対話する中で、エンタープライズコンピューティングにおける最大の問題が複雑性にあると述べた。

ctrx01.jpg デスクトップ仮想化とクライアント仮想化の違いについて説明するテンプルトン氏

 同氏はITの現状について、過去20〜25年にわたって築かれた分散コンピューティングの歴史によって、さまざまな分野、世代のテクノロジーが相互的に、そして複雑な関係によって接続され、各テクノロジーのレイヤが複雑に積み重ねられてきたものと指摘する。その結果、アーキテクチャの硬直化という事態を招いた。「しかし、ユーザーが求めているのはサービスであり、テクノロジーそのものではない」と同氏は話す。

 それでは、ITには今後どのような変化が求められるのだろうか。テンプルトン氏は、「ITがコンシューマー化しつつある傾向」を重視しているという。

 「最近は多くの顧客がiPhoneやMacBookなどをビジネスに使うようになった。まさにITのコンシューマー化を象徴するものだ。その背景には、よりシンプルなソリューションを求める消費者ニーズがある。シンプルで使いやすく、トレーニングや慣れが要らないシステムを求めているのだ。この傾向は、さらに進むだろう」(同氏)

 その例として、同氏はGoogleやAmazon、iTunesといったWeb上でのサービス、また、銀行のATMなどを挙げている。

 「社会に最も普及しているアプリケーションはWebブラウザやメールではなく、実はATMだ。ATMはシンプルであり、トレーニングが要らない。一方、現状のエンタープライズコンピューティングはこれとは対極にある。複雑であり、それゆえにユーザーにもトレーニングが必要になってしまった」(同氏)

日本に学ぶシンプルな仮想化

 ITの複雑性は、システムの開発や管理の難しさにも影響する。テンプルトン氏は30年ほど前に自動車の信頼性について学ぶ機会があったといい、部品点数が自動車というシステム全体に大きく影響すると紹介した。

 「例えば、以前のBuickの自動車は約10万点の部品で構成されていた。各パーツの信頼性が99.9%だとしても、自動車全体のシステムとしては80%程度にまで信頼性が低下していたという。それに対し、トヨタやホンダなど日本の自動車メーカーは部品点数を約5万点に削減した。各パーツの信頼性が同じく99.9%なら、自動車全体の信頼性は90%以上に高まる。これは顧客満足度を高めることにつながり、結果として市場シェアが高まった。部品点数が少ないということは、生産コストや保守コストも抑制される」(同氏)

 同氏はエンタープライズコンピューティングでも日本車のような簡素化を目指すべきだと指摘。日本にはこのようなシンプルなシステムを生み出す土壌があるという。「例えば食事も日本食はとてもシンプルで美しく、自然な形で提供される。日本でしばしば目にするシンプルさの実例だ」(同氏)

 このように、IT環境を簡素化する方法は部品を削減して最適化できるかが重要になる。Citrixの基本戦略もこれに基づいているという。

 「企業ITにも自動車と同様に部品の最適化や削減が求められている。そのためには、IT部門が新しいアーキテクチャや手法に取り組まなければならない。新しいテクノロジーや戦略パートナーが必要になる。Citrixは今後5〜10年の間にエンタープライズコンピューティングの部品点数を削減し、シンプル化とコンシューマー化を推進する」(同氏)

 しかし、高度に複雑化、硬直化してしまった既存のITインフラは無視できない存在である。このため、シンプル化のアプローチでは既存のITインフラ上に可能な限りサービス指向アーキテクチャ(SOA)を構築しながら、ビジネスの変化を実現していくように取り組んでいるという。

 「複雑さを解消する唯一の方法は、出来るだけ既存のITインフラを使いながら、さまざまな分野に仮想化のテクノロジーを取り入れ、既存インフラにある部品を排除する。われわれのビジネスチャンスはそこにあり、新しい時代のリーダーの一つになりたいと考えている」(同氏)

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