パンデミック対策としてのテレビ会議に勝機――イスラエルのRADVISION

従業員が出社しなくても業務を続けられる仕組みの1つとして、テレビ会議が注目されている。

» 2009年09月08日 15時17分 公開
[ITmedia]

 新型インフルエンザが本格的な流行期に突入する恐れが出てきた。被害がさらに増えると、感染症が世界的に流行するいわゆる「パンデミック」の事態になる。企業は従業員を新型インフルエンザから守るべく、対策を講ずる必要が出てくる。従業員が出社しなくても業務を続けられる仕組みの1つとして、テレビ会議が注目されている。

 テレビ会議システムにおいて、H.323プロトコルのベンダー向けライセンス供与などで高いシェアを持つイスラエルのRADVISION日本法人は9月8日、自社ブランドのMCU(多地点ビデオ会議制御装置)の最新版の販売を同日から開始すると発表した。

来日したRADVISIONのボアズ・ラビブCEO(左)、アジア太平洋地区のゼネラルマネジャーのエイタン・リブン氏、日本法人の西村耕三社長(右)が「ビデオ会議の民主化(低価格化)を進める」と話す

 発売したのはMCUの最上位機種「SCOPIA Elite」。フルHDに対応し、Cisco Systemsのテレプレゼンス製品と接続できるようにした。また、複数のMCU間を自動連携できるようにすることで、ビデオ会議を利用できるポート数を1000にまで拡張できるという。拡張した場合の画質も4CIFという高い品質を確保した。

 来日したボアズ・ラビブCEOは、自動連携する機能を実現するソフトウェアを無償提供していることを強調しながら「テレビ会議の大規模展開時に運用を自動化するためには不可欠な機能」と話す。ソフトウェアが無償であることによる全体としてのコスト効果の高さを繰り返し述べた。

 このほか、SCOPIA EliteはH.264/SVCを標準搭載している。パケットロスが20%程度発生しても、ブロックノイズの発生を抑えるなどの効果が得られるため、ユーザーが視聴する画像の乱れを避けられる。H.264/SVCに対応していない機器との混在も可能な点も特徴としている。

 SCOPIA Eliteの価格は、1ポート当たり5500ドル程度。「競合他社よりも3割ほど安い」(西村氏)。

 ボアズ・ラビブ氏は、海外でのビデオ会議の利用目的として、在宅勤務制度の実現に加え、移動コストを抑えることによるコスト削減に注目が集まっていると指摘。「実際に現地に飛ぶには、フライト時間だけでなく、空港への移動時間など膨大な時間がかかる。テレビ会議ならほんの一瞬で済んでしまう」(同氏)。

 パンデミック対策やコスト削減など、導入理由を比較的明確に定義できるのが、テレビ会議の特徴といえそうだ。

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