勝ち残る企業のWebプロモーション

Webプロモーションを成功に導く5つのステップWebPRの仕掛け方(2/2 ページ)

» 2009年09月17日 08時00分 公開
[太田滋(ビルコム),ITmedia]
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(4)コアメッセージの設定

 コアメッセージは、目的達成のためのWebPR活動において、戦略の軸をぶらさない羅針盤としての役割を果たす。コアメッセージは「ブランドインメッセージ」と「メディアアウトメッセージ」という2つの視点から考えてみよう。

 ブランドインメッセージとは、企業が消費者に伝達したいと考えているメッセージだ。ここからは、コアメッセージの役割を理解するために、ある飲料メーカーを例に説明しよう。このメーカーでは、他社メーカーの緑茶商品と比べて数倍のミネラルが含まれた緑茶飲料を開発している。この場合、企業の商品企画部などが消費者に伝達したいと考えるのは「ミネラルが大量に含まれていること」である。これがブランドインメッセージだ。

 メディアアウトメッセージとは、消費者にメディア側の視点で伝達しようと考えるメッセージだ。これはメディアがすくい上げようとする消費者の興味や関心とも言い換えられる。お茶の商品をメディアで取り扱う場合、「美肌に効果あり」「京都の味が楽しめる」といったメッセージを伝達することが多い。消費者にとって、機能や情緒的な便益に直結する内容である。飲料に含まれる成分は消費者の関心が低く、メディアは基本的に取り扱わない。

 コアメッセージは、このブランドインメッセージとメディアアウトメッセージを融合し、企業の主張とメディア側の意向を含んだ形のメッセージだ。この緑茶飲料におけるコアメッセージは「美肌に効く、ミネラル緑茶」である。

(5)ストーリーの策定

 最後にすべきことは、Webにおける消費者の購買プロセスである「気づく」「わかる」「比べる」「買う」に沿って、適切なメッセージと施策を組み立て、それを消費者に届けるストーリーを設計することだ(購買プロセスについては第2回目の連載を参照)。

 気を付けたいのは、消費者の心理状態によって、届けるべきメッセージを変えていくことだ。「気づく」と「わかる」の状態では、消費者の心理や行動は大きく異なっている。「美肌に効く、ミネラル緑茶」の場合だと、その商品に気付いてもらうためには、ミネラルが肌に良いということを訴求しなければならない。商品を理解してもらうには、ミネラル緑茶がその商品に該当するという印象を与えるために、商品名や商品そのものの認知度を上げていく必要がある。


 WebPRにおいて大切なことは、消費者の購買プロセスに応じて、発信すべきメッセージや施策を再構築していくことだ。企業は消費者に情報を届けるために、きめ細やかな配慮が求められる。

 次回では、具体的な例を基に、購買プロセスごとにメッセージを打ち分ける方法と、実際にどのような施策を講じればいいかについて説明する。

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著者プロフィール:太田滋(おおた しげる)

ビルコム 代表取締役兼CEO。PRの戦略構築から企画実行までを手掛けるPR会社としてビルコムを2003年に設立。2008年にはWebPR関連のサービスを提供しており、相模ゴム工業のWebキャンペーン「LOVEDISTANCE」なども仕掛けた。著作にはWebPRの実践手法をまとめた書籍「WebPRのしかけ方」がある。


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