クラウド時代のデータベース新潮流

クラウドに関する「モヤモヤ」を解消する〜前編栗原潔の考察(2/4 ページ)

» 2009年09月18日 12時00分 公開
[栗原潔,ITmedia]

モヤモヤ2 クラウド・コンピューティングは昔からある概念の焼き直しではないのか?

 はっきり言ってしまえば、クラウド・コンピューティングとはまったく新しい概念というわけではない。ネットワークの向こう側から提供されるサービスを利用するというのはまさにウェブの概念そのものであるし、SaaS、PaaS、IaaSなどはクラウドという言葉が登場する前から存在している。また、処理規模に応じた資源の自動割り当て、解放、従量制課金などはグリッドやユーティリティなど、クラウド以前からある概念とも共通するものだ。

 クラウドはまったく新しい概念というよりは、いままさにインターネットの世界で進行している複数のパラダイムシフトに総称的な名前を付けたものであると考えた方が適切であろう。その点では、クラウドはWeb 2.0という用語に類似しているといえる。Web 2.0もまったく新しい概念ではなく、インターネットの世界で進行中のさまざまな動向をひとまとめにした言葉だった。

 Web 2.0という言葉の登場には意味がなかっただろうか? そうは思わない。総称的な言葉、いわゆる「アンブレラ・ターム」を提供することで複数の多様な事象の見通しが良くなった(特に、経営層にとって概念を説明がしやすくなった)という点では十分に意義があったと思われる。クラウドという言葉もこれと同様の意義を持っているだろう。

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