あなたの言葉はなぜ他人の心に響かないのか?オープンソースソフトウェアの育て方(3/7 ページ)

» 2009年09月29日 08時00分 公開
[Karl Fogel, ]

構成や体裁

 ケータイのメールじゃないんだから、何も考えずにただだらだら書き連ねるといったことはやめましょう。ちゃんとした文を書き、単語の先頭はちゃんと大文字にして、適切に段落分けをするようにしなければなりません。これは、メールだけでなくそのほかのちゃんとした文書においても最も重要なことです。IRCのようなその場限りのやり取りの場合は、あまりそんなことを気にする必要はありません。略語を使いまくったりしても大丈夫です。しかし、正式な掲示板上などにはそんな習慣を持ち込まないでください。

 メールやマニュアル、バグ報告などのように後に残ることが前提の文書は、標準的な文法やスペルで書く必要があります。また、きちんと構成されていなければなりません。これは決して「取りあえず長いものには巻かれておけ」とかいう類の話ではありません。ここで挙げた規則は、単なるしきたりではないのです。文書を読みやすくするために進めてきた結果がこれなので、できるだけそれを尊重しましょう。読みやすく書くようにする理由は、他人が理解しやすくなるからというだけではありません。そうすることで、あなたが「他人としっかりコミュニケートするつもりのある人だ」と認められるようになるからという面もあります。

 メールを書く際には、オープンソース開発者の間で暗黙の了解となっている決まりごとが幾つかあります。

 メールではプレーンテキストのみを使用し、HTMLやリッチテキストといった形式は避けましょう。テキストにのみ対応したメールソフトでは、ほかの形式のメールがうまく見えないことがあります。また、半角72文字程度で改行を入れるようにしましょう。1行が80文字を超えてはいけません。これ(80文字)は、端末の画面上で1行に表示できる桁数の標準値です。これより広い幅の端末を使っている人もいるでしょうが、これより狭いものを使っている人はいません。80文字ぎりぎりではなくもう少し余裕を持って改行しておくことで、返信時に引用符を追加しても改行位置を気にする必要がなくなります。

 実際に改行すること。メーラーによっては、メールの作成時にはいかにも改行しているように見せていても、実際のメールでは改行されていないものもあります。そのまま送信すると、あなたの意図したところに改行が入っていない状態のメールが送信されます。受け取った側の画面によっては、改行の位置がおかしくなってしまうことでしょう。もしあなたがそのようなメーラーを使っているのなら、メール作成時に実際の改行を見せるような設定項目がないか探してみましょう。

 画面の出力やコードの一部、その他フォーマット済みのテキストを記述する場合は、はっきりと分かるように位置をずらしましょう。どこからどこまでが地の文でどこからどこまでが引用なのかを明確にしておくことが大切です(本書を執筆しはじめた当初は、こんなことを説明するつもりはありませんでした。しかしさまざまなオープンソース関連のメーリングリストを見ていくうちに、さまざまな種類のテキストを区別せずごちゃごちゃにしている人があまりにも多いことに気づきました。それはそれは非常に読みづらいものでした。そのおかげで彼らの投稿の内容をつかみにくくなるだけでなく、率直に言って彼らはちょっとだらしない人たちだなと感じました)。

 他人のメールを引用して返信する際は、適切な場所に返信内容を書くようにしましょう。必要なら、幾つかの場所に分けて書くことになっても構いません。また、不要な部分は引用しないようにしましょう。もしその投稿全体に対して一言コメントしたいのなら、投稿の先頭(つまり、あなたの返信を書いた後にメールの引用が続く形式)にそれを記述します。それ以外の場合は、まず関連する個所を引用した上で、その後に返信を書きます。

 メールの件名はよく考えてつけるようにしましょう。これは、メールの中で最も重要なものとなります。というのも、プロジェクトのほかのメンバーはそのメールを読むかどうかを件名で判断するからです。いまどきのメールソフトは、関連するメッセージをスレッドにまとめる機能を持っています。スレッドにまとめる基準は、件名が同じというだけではなくそのほかのヘッダの内容も使用します(このヘッダの内容は、表示されないこともあります)。もし1つのスレッド内で話題が変わるときは、返信の際に件名を適切に変更することもできます(変更すべきです)。そのほかのヘッダの内容によってスレッドの構成はそのまま保持されますが、件名を変えておくと、そこで話題が変わったことが分かりやすくなります。また、本当に新しい話題を始めたい場合は、新しいメールとして送信するようにします。既存のメールに「返信」して件名だけを変えるというのではいけません。さもないと、あなたの出したメールがスレッドに紛れ込んでしまいます。これによる損失は、単に時間を浪費してしまうことだけではありません。「コミュニケーションツールをうまく使いこなせる人」というあなたの評判も落ちてしまいます。

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