世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

日本企業のBPO成功に向けて世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/2 ページ)

» 2009年10月07日 08時00分 公開
[田村貴志(アクセンチュア),ITmedia]
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業務標準化の実施

 BPOを行う際、現在の業務をそのまま移管するのではなく、徹底的な標準化/BPRを行ってこそ、その効果を最大化できる。複数の拠点に分散した業務を集約化する場合は特に、それぞれの拠点で独自のやり方で業務を行っていることが多い。だが、それを単純に寄せ集めただけでは集約化の効果を得られない。

 BPOによって、これまで個別に行われてきたオペレーションは、より標準化されることでより大量のトランザクションを効率的かつ安定的に実行できるのである。これをわれわれは「工業化」と呼んでいる。製造プロセスが工業化したように、経理、人事、調達などのプロセスも工業化を進めることができるのである。

 ところで日本には製造業を中心に世界を相手にビジネスを展開している企業が多数存在するが、いまだ真のグローバル企業は少ないと考えている。理由はグローバルでの業務標準化が不十分であるからである。

 多くの日本企業においては、例えば製造プロセスについては、品質管理を中心に、極めてグローバルでの標準化が進んでいるにもかかわらず、財務経理や人事の領域については、各国でバラバラな制度・業務プロセスが放置されていることが多い。

 例えば、日本の本社経理部の部長の方は、国内の経理業務については分かっていても、米国や中国の経理業務がどのように行われているかについて知らないことが多い。本社の経理部長といえども、海外支社の経理部門とは連結決算の段階で各国が挙げてきた決算数値によってつながっているのである。これに対して多くの欧米企業は財務経理・人事などの制度・プロセスをグローバルで標準化し、その運用のためのガバナンスの仕組みを作り、日々その徹底に努めている。

継続的改善

 BPOでは、移管した業務運用が安定した後も、単に同じことを繰り返すだけではなく、継続的な改善が行われる必要がある。アクセンチュアのデリバリー・センター・ネットワークでは、オペレーション・エクセレンスと呼ぶ一連の改善活動を行うことによって常に効率を上げ、品質を高める努力を行っている。

 ここでのポイントはあくまでセンター内の自律的な活動によって、これが成り立っている点である。例えば、異なるクライアントの業務を実行しているチーム間で改善事例について情報共有を行ったり、個人が気づき実践した改善ポイントなどをWeb上の掲示板で共有したりといった各種改善活動が日々行われている。アクセンチュアのセンターを訪問いただいた顧客の多くは、その雰囲気や自律的な改善活動の様子に驚かれることが多い。

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著者プロフィール:田村貴志

田村貴志

アクセンチュア株式会社 アウトソーシング本部パートナー。大手通信会社、メーカー、金融機関など幅広い業界に対して、財務・経理、購買、コールセンターなどの多岐にわたるビジネスプロセスアウトソーシング プロジェクトを手掛ける。業界や業務が抱える固有の課題やプロセス、オフショア戦略について豊富な実績と知識を有する。


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