シスコ、クラウド基盤の実現に向けた進捗を説明

シスコシステムズは、本格的なクラウドコンピューティング時代を実現するという基盤技術への取り組みや製品展開について進捗状況を紹介した。

» 2009年10月15日 20時29分 公開
[ITmedia]
石本氏

 シスコシステムズは10月15日、同社が提唱する次世代データセンター構想への取り組み状況について報道向けに説明した。システムの仮想化や運用の自動化を支援する製品を2010年から本格展開する準備を進めているという。

 冒頭、アーキテクチャ&テクノロジ事業統括マネージングディレクターの石本龍太郎氏は「これまで投入したシステムおよびネットワークの統合を支援する製品によって、クラウドコンピューティング時代を支えるIT基盤環境が実現しつつある」と話した。

 同氏よれば、データセンターネットワークやユニファイドファブリック(統合化されたネットワーク環境)、ユニファイドコンピューティング(統合化されたコンピューティング環境)といった、同社がこれまでに提唱してきたアーキテクチャを実現する製品ラインアップが広がったことで、クラウドコンピューティングの本格導入を視野に入れる企業顧客が増えつつあるという。

 「顧客企業との対話で感じるのは、プライベートクラウド(企業内クラウド)の構築、運用を念頭に入れているケースが意外にも多いということ。現在進んでいる100件近い案件の大半を占めている」(石本氏)。石本氏は企業内クラウドの次なるステップとして、複数の企業同士で企業内クラウドのリソースを機動的に共有できるようにするという「インタークラウド」が普及すると予測する。

 石本氏は、「例えばvMotionのような技術を使って、A社のリソースをB社が繁忙期に借り受けるといったケースがあるだろう。現状では遅延解消など乗り越えるべき課題が山積みだが、近い将来に実現できると思う」との見方を示した。

3月に発表されたUCS Bシリーズ。国内環境での検証が進む

 同社は、今年に入ってユニファイドファブリックやユニファイドコンピューティングの新製品を相次いでリリースした。このほど発売した10ギガビット対応ブレード型スイッチ「Nexus 4000」は、6月に標準仕様が策定されたFiber Channel over Ethernet(FCoE)へ本格対応した製品の1つだという。

 同製品ではFiber ChannelやEthernet、多重化などの処理をワンチップ化したことで、ネットワークカードをブレードサイズに小型化した。従来は同程度の機能を実現するのに2Uのサイズが必要だったといい、2010年以降にはマザーボードに搭載可能なサイズにまで小型化できる見込みである。これらの技術進化によって、インフラ部分の多くをFCoEで接続できるようになる。

 ユニファイドコンピューティング製品では、エントリーモデルとして最大384GバイトのメモリをサポートするブレードサーバのUCS Cシリーズを近く展開する。同製品はSNMPなどを利用した既存の運用管理ツールに対応するが、将来的に同社が提供するUCSの統合管理ツールで運用できるようにする計画だという。

 現在、新製品の多くが日本語環境での動作検証を進めており、年内には完了する見込み。実際の出荷は2010年初頭から始まるとしている。

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