クラウド時代のデータベース新潮流

SMBにも身近になってきたデータベース可用性対策クラウド時代のデータベース新潮流(2/2 ページ)

» 2009年10月20日 08時00分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]
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仮想化やRDBMSの進化がもたらす解決策

 ユーザー企業が抱えるこうした課題を受けて、最近では新しい対策が登場してきている。1つは仮想化技術の活用だ。仮想化ハイパーバイザの上にRDBMSを稼働させておけば、処理を中断することなく性能の高い物理サーバへと移動させることができる。例えば、VMWareの「vMotion」(仮想マシンを停止せずに、物理サーバ間で移動させる仕組み)を用いれば、トランザクション処理を中断せずにデータベースを移動させることができる。

 もう1つはRDBMS自体の進化だ。「Oracle Database 11g R2」では「Oracle RAC One Node」というオプション機能が提供されている。これは複数台の物理サーバで構成されるデータベースの冗長化環境をRDBMSのみで実現するものだ。例えば、業務システムAと業務システムBで用いる2台の物理サーバを集約し、それぞれのデータベースを互いに移動させることができる。

 仮想化による手法はDBサーバだけでなく、APサーバにも適用可能だ。物理サーバ群全体の可用性や利用効率を改善したい場合に有効だろう。一方、RDBMSによる手法は比較的費用が安価であり、データベースに特化している分だけ導入や運用が容易である。DBサーバの低コストで可用性向上を実現したい中堅・中小企業に適した手法といえるだろう。

DBサーバの新しい冗長化手法

 中堅・中小企業においても、今後はハードウェアとソフトウェアを分離して業務システムの可用性を改善する取り組みが不可欠になってくる。その手段には仮想化技術の活用などさまざまな手段が存在するが、RDBMSなどのミドルウェア自身がそうした機能を備え始めている状況は注目に値する。システムの構成要素をなるべく増やさず新しい機能を実現するという意味で、こうしたミドルウェアの進化については今後も要注目である。

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