いったんTeradataによってEDWの構築に成功すれば、今度はデータマートの迅速な活用も臨機応変に行える──これが今年のPARTNERSのもうひとつのテーマである、「Teradata流クラウド」だ。
「クラウド狂想曲」で騒がしい業界だが、今回Teradataが発表した「Teradata Enterprise Analytics Cloud」は、EDWを構築している既存顧客に恩恵をもたらすという点で、その実体は明確だ。
開発用/評価用の無償ライセンスをパブリッククラウドでも利用できるようにした「Teradata Express on Amazon EC2」の方が一見すると派手さはあるが、重要なのはむしろプライベートクラウド向けの「Teradata Agile Analytics Cloud」だろう。
Teradata Agile Analytics Cloudは、Coca-ColaやeBayのようにアナリティクス機能を社内にサービスとして提供している先進企業のニーズに応えて開発されたものだいう。
「クラウドとそれを支える仮想化の恩恵は、コスト節約もあるが、核心はアジリティだ。情報システム部門に依頼しなくとも、ビジネスユーザー自身がTeradataの本番システム内にデータマートを迅速に構築できる。本番システムのデータを直接共有するため、データを移動して別のコピーを持つ必要もない」と話すのは、CTOを務めるブロブスト氏。
ただし、彼はガバナンスの重要性を指摘することも忘れない。技術的にTeradataの本番システム内にサンドボックスをつくることができ、影響をほかに及ぼさないからといって、データマートが野放しになってもいけない。
「あくまでも迅速に立ち上げたデータマートは暫定のものであるべきで、例えば、利用できる期間を3カ月に制限し、そのデータに価値があれば本番システムで共有し、逆に価値がなければ捨てる必要がある」とブロブスト氏。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.