勝ち残る企業のWebプロモーション

Twitterパワーを最大限に引き出す先進ブランドたち企業とTwitterの向き合い方(3/3 ページ)

» 2009年10月23日 08時00分 公開
[斉藤徹,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

エンゲージメント・パワーの大きさで何が分かるか

 エンゲージメント・パワーが大きい企業のアカウントは以下である。

- 会社名 業種 代表アカウント エンゲージパワー 開始日 フォローしている フォローされている 主な利用クライアント
1 Starbucks 飲食業 Starbucks 288万7143 2006/11/29 8万5600 28万7786 CoTweet
2 Yahoo インターネットサービス yahoo_shopping 147万6156 2009/03/26 1万6903 8万8856 Web
3 Dell コンピュータ DellOutlet 117万7358 2007/05/01 2億4 114万566 CoTweet
4 Amazon インターネットサービス amazonmp3 43万5128 2008/05/12 544 103万7613 Web
5 Microsoft コンピュータ MSWindows 13万859 2008/07/31 3万8273 3万8270 Web
6 Ford 自動メーカー Ford 8万6886 2008/07/31 1万3847 1万4481 CoTweet
7 MTV メディア MTV 7万4074 2007/03/26 1159 32万8040 TweetDeck
8 Nike 消費財メーカー nikebasketball 4万4612 2007/05/09 184 2万1609 TwitPic/Web
9 Pizza Hut 飲食業 pizzahut 3万4215 2007/12/10 1万2273 1万6573 TweetDeck
10 Pepsi 飲料メーカー pepsi 2万1189 2008/12/15 1万3227 1万2632 CoTweet

 メディア・パワーの大きさで上位だった「google」や「SonPlayStation」のアカウントは姿を消し、「pizzahut」や「pepsi」がランクインしている。特に飲食/飲料メーカー/食品メーカーなどの業種は、Webでも顧客とのつながりを大切にしたいと考える傾向が強いといえる。特に1位のStarbucksは、Twitterのサービスが開始されてからわずか4カ月でアカウントを立ち上げ、顧客との対話を続けている。こうした地道なやりとりこそが、顧客のロイヤリティや来店頻度を高める効果をもたらすといえよう。

 これらの企業において、フォロワーとなった利用者をフォローしているアカウントは、「MSWindows」「Ford」「pizzahut」「pepsi」だ。「Starbucks」や「yahoo_shopping」も一定の比率でフォローを返している。これは、ダイレクトメッセージが送れるようにするためである。特に個人情報や契約、見積もり、強いクレームなどのやりとりには、「@」を付けた個人あての返信よりも、ダイレクトメッセージが使われる傾向が強い。

「ゆるいやりとり」がきずなを生み出す

 同様に、エンゲージメント・パワーが大きい企業のつぶやきの詳細を分析した。

- 会社名 代表アカウント 月間つぶやき数 日平均つぶやき数 平均文字数 対話比率 リンク比率 ハッシュタグ比率 一斉質問比率
1 Starbucks Starbucks 359 11.58 76 87% 25% 6% 0%
2 Yahoo yahoo_shopping 848 27.35 46 61% 28% 4% 0%
3 Dell DellOutlet 73 2.35 110 44% 36% 3% 4%
4 Amazon amazonmp3 82 2.65 105 16% 91% 5% 0%
5 Microsoft MSWindows 251 8.10 89 42% 54% 29% 0%
6 Ford Ford 291 9.39 99 64% 33% 28% 5%
7 MTV MTV 224 7.23 100 3% 91% 8% 0%
8 Nike nikebasketball 151 4.87 112 42% 24% 1% 5%
9 Pizza Hut pizzahut 151 4.87 112 42% 24% 1% 2%
10 Pepsi pepsi 97 3.13 85 54% 26% 8% 1%

 Starbucksは顧客との対話比率が87%である。そのほかのアカウントも40%以上のつぶやきを利用者との個別対話に費やしている。その内容は肩肘を張るようなものではなく、気が抜けるような「ゆるい」やりとりが多い。つぶやきの数が多いyahoo_shoppingも、利用者とは軽めの会話でやりとりをすることに徹している。以下は、yahoo_shoppingにおける10月16日の利用者との対話の一部だ。

@●● おはようございます。ですね!

@●● 昨晩はありがとうございました。楽しかったです!今後ともよろしくお願いいたします(^^

@●● ありがとうございます。応援よろしくお願いします!

@●● おはようございます。頭が真っ白になって、英語が出てこなくて、何を話したのかよく分からない状態でした(汗


 Twitterでは140文字というつぶやきの制限があるため、利用者と企業の交流はシンプルで友好的だ。yahoo_shoppingの例においても、利用者とTwitterの担当者はふつうのおしゃべりを交わしているだけである。これは企業と顧客がインターネットを介して行っていたコミュニケーションではあり得なかった特徴だ。

 これがTwitter独特の文化である。利用者は企業とフランクなやり取りができることに、驚きと新鮮味を感じるだろう。これまでのWebでは実現できなかった顧客とのきずなの構築、この実現に寄与するのが企業によるTwitterの活用にほかならない。

企業向けのお勧め情報を発信している「ITmedia エンタープライズ 編集部公式Twitter」も併せてチェック

著者プロフィール:斉藤徹(さいとうとおる)

image

ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長。慶應義塾大学理工学部卒。日本IBMを経て、フレックスファームを創業。2004年に持株を売却し、2005年からはループス・コミュニケーションズを第二創業。SNSやシステム構築運用に加え、TwitterやFacebook、mixiアプリなどのソーシャルメディアを活用するノウハウを企業向けに提供している。ITmedia オルテナティブ・ブログでは『ソーシャルメディア。マーケティングにどう活用するか?』を執筆している。10月16日に新著『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』を出版。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ