HP vs. Cisco――対極的なデータセンター戦略(2/3 ページ)

» 2009年11月10日 11時45分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 UCSとCIは名称こそ違うが、基本的には同種のデータセンターシステムだ。しかしCiscoとHPの開発手法と市場戦略は大幅に異なる。

 ネットワーキング用ハードウェアとソフトウェアのベンダーであるCiscoは、データセンターシステムのサプライヤーを目指している。11月3日に発表されたAcadiaは、同社が文字通り業界の友人を誘って共同設立した合弁企業だ。Ciscoのジョン・チェンバーズCEO兼会長とEMCのジョー・トゥッチ社長兼CEOは20年来の友人だ。

 トゥッチ氏は、仮想化大手VMwareのポール・マリッツCEOの友人だ。Microsoftからマリッツ氏を引き抜き、EMCの子会社であるVMwareの経営を任せたのがトゥッチ氏なのだ。VMwareは現在、Acadiaの3番目のパートナー企業となっている。Intelのパット・ゲルシンガー元CTO(最高技術責任者)は現在、EMCに在籍しており、Intelもこの共同事業で重要な役割を果たしている。つまり、この動きには業界の人脈が深く絡んでいるのだ。

 Ciscoでは、パフォーマンス、効率、費用効果に優れたデータセンターを構築するには、信頼できる外部の専門家を受け入れる必要があると考えているようだ。Cisco、EMC、VMware、IntelがAcadiaの共同出資パートナーとなったのには、そういった背景がある。なお、Acadiaは2010年1月1日に営業を開始する予定だ。

 「この事業は、オープン主義を貫いてきた3社を結び付けるものだ」とCiscoのチェンバーズ氏は語る。「われわれは顧客をロックインしたりはしない」

 それは見解の問題だ。CiscoはVblockに関しては明らかに独自路線を採用している。Vblockを運用するにはCisco UCSサーバが必要とされ、そのデータの保存にはEMC製品が必要であり、OSと仮想化レイヤを提供するのはVMwareだ。Vblockの開発ではそれ以外の選択肢は許されない。これは普通、ロックインと呼ばれる。

 標準のCisco UCSのコンポーネントを他社製品に入れ替えることも可能だが、その場合、一種のハイブリッド構成とならざるを得ない。Cisco-EMC-VMware連合でもハイブリッド構成を販売するだろうが、それはVblockブランドのソリューションとは異なり、提供されるサービスも同じではない。

 いずれにせよ、Ciscoはこの強力な新ハードウェアとソフトウェアを販売・提供するという重荷をすべて単独で引き受けるのに必要な製品ラインを持っていない。

 「これをすべて1社の企業でやるのは絶対に無理だ」とトゥッチ氏は話す。

 これに対して「ちょっと待った」と異議を唱えているのがHPだ。

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