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» 2009年11月12日 17時00分 UPDATE

伴大作の木漏れ日:鳩山さんとコンピュータ――2010年代の産業政策 (1/3)

鳩山政権の施政方針を見る限りわれわれの関心が強い産業政策について言及がほとんどされていない。今回は2010年代の日本の産業政策に何が望まれているかについて僕の考えを記す。

[伴大作,ITmedia]

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 10月27日、臨時国会が開催され、民主党鳩山由紀夫代表が日本の首相として初めて国会で施政方針演説を行った。夏の衆議院議員総選挙に地滑り的な勝利を果たして政権を奪取して以来、八ッ場ダム工事中止問題や子育て支援、日本郵政の西川社長更迭など、お騒がせな話題をさまざま提供してきたが、民主党政権としての確固たる政見の方針は必ずしも明確になっていなかった。それに対する1つの回答を提供したことになる。

 しかし、今回の鳩山政権の施政方針を見る限り、われわれの関心が強い産業政策について言及がほとんどされていない事に不安を感じる。今回の木漏れ日ではその辺に焦点を当て、今回の政変劇にとらわれず、2010年代の日本の産業政策に望まれているかについて僕の考えを記す。

民主党の産業振興策

 これまで、60年以上政権を担ってきた自民党の産業政策は基本的に産業界に資金を投入するいわゆるサプライサイドの支援を基本としてきた。この政策は、戦後、資金が民間企業に慢性的に不足し、圧倒的な規模と技術力の格差が日米間で存在していたころは非常に有効だった。国内の製造業を守るという観点からも正しい判断であった。

 しかし、高度成長期を経て、世界でも有数の経済大国にのし上がった日本経済を運営するには、この政策には問題が多い。過小資本を肯定的にとらえていたため、経営者や資本家に有利な行政となりがちだ。当然、生産者保護に傾く。消費者保護はなおざりだった。手厚い経営権保護は買収や合併による産業のダイナミズムを奪い、世界的にもまれなオーバーカンパニーの状態に陥った。その結果、一時は圧倒的な競争力を維持していた日本企業も、世界的な再編の嵐に巻き込まれるうちに、国際競争力を失っていった。

 これに対し、民主党の産業政策は、消費者サイドに立ち位置を移している。つまり、デマンドサイドの経済振興だ。

 消費者がさまざまな製品やサービスを気軽に買えるように国民の経済的基盤を立て直すことにより、需要を喚起する事により低迷した景気を回復させようとしている。

 失業や就業不安、自らが営む会社の倒産、老齢、病気、子どもに手が掛かるといった個人が抱える悩みを社会的な仕組みで緩和し、消費者が安心してさまざまな製品やサービスを購入することができる社会――。これが民主党の経済政策だ。

 これにより消費者の購買力が回復、増加すると、産業は再び活気を取り戻す。それが民主党の描くシナリオだ。子育て支援制度、農業の所得保障制度、老齢年金の見直し、モラトリアムと揶揄(やゆ)される中小企業金融支援などほぼすべてが、このシナリオと合致する。

 まあ、しょせん金持ちと官僚優遇の政策から、一般庶民の目線に移っただけでもそれなりに評価されるということだ。

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