和解成立で将来に目を向けるIntelとAMD(2/3 ページ)

» 2009年11月17日 11時45分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 AMDはこれまで、Intelが条件付きリベートと強制力を不正に用いて、Dell、Hewlett-Packard(HP)、IBMなどのOEM各社がAMD製品を採用するのを制限したと主張してきた。両社の合意では、IntelがAMDに支払う金額のほか、条件付きリベートを含めIntelが今後行わないことに合意した幾つかの商慣行が規定された。

 また、将来の紛争が訴訟になるのを避けるために、紛争解決ポリシーも定められた。これには、両社幹部が四半期ごとに会合を開くことや、調停や仲裁の手続きなどが含まれる。

 米Sageza Groupのアナリスト、クレイ・ライダー氏は「彼らが校長室ではなく運動場で対立を解消できるのであれば、誰にとってもその方が良い」と例えを交えて説明する。「これは法廷で時間を費やすよりも、はるかに優れたアプローチだ」

 オッテリーニ氏は、今後禁じられる商慣行のリストに関して、「Intelが合意したのは、当社がこれまで1度も違法行為をしたことがないからだ」と述べている。

 「当社としては、そういった行為をしたことはないし、これからもするつもりはない。その意味では、これまでと何も変わらない」と同氏は語る。

 しかしEndpointのケイ氏によると、Intelは何年もの間、その資金力と影響力に物を言わせてOEM各社の購入決定に影響を及ぼしてきたという。ニューヨーク州検事総長が提起した訴訟で公表されたIntelとOEM各社の幹部の最近の電子メールは、そのことを裏付けている。開示された電子メールの中には、Dellのマイケル・デルCEOがオッテリーニ氏に対して、Intelから支払いを受ける代わりにAMD製プロセッサを採用しなかったことが、Dellを競争で不利な立場に追い込んだと不満を漏らしているものもあった。

 「メディアとアナリスト向けの電話会見でのオッテリーニ氏の説明にもかかわらず、マイケル・デル氏の電子メールは同社に手痛い打撃となった」とケイ氏は語り、「Intelではそういった行為を10年以上も行っていないそうだ」と皮肉交じりに付け加えた。

 米Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏によると、両社の和解でOEM各社は一安心できるという。

 「今回の和解は基本的に恐怖要因を取り除くものだ。それが実際に存在したかどうかは別として」と指摘する。「OEMの間には、AMD製品をあまり使うと報復されるのではないかという恐怖があった。この和解により、HPなどの企業は好きなプロセッサを自社製品に採用できるようになる」

 これはAMDにとって朗報だ。同社は明らかに、Intelの商慣行のせいで市場シェアを失ったと考えているようだ。しかしスプーナー氏によると、今回の和解は、少なくとも新興のノートPC分野で市場の細分化につながる可能性があるという。現時点では、IntelはノートPC市場でAMDに対して競争優位に立っており、システムメーカー各社はAMD製品を同市場のローエンド部分に押し込めてしまう可能性もある。一方、AMD製品がIntelに対して競争力を持っているサーバ分野では、そういった状況が起きる可能性は低い。

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