わが社のコスト削減

経営戦略と結び付かないWeb構造改革は失敗するリクルートエージェントのWebマーケティング刷新(3/3 ページ)

» 2009年11月20日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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小手先のテクニックよりも大切なこと

 青葉氏にリクルートエージェントのWebサイトの存在意義や、Webマーケティングの全面刷新の勘所を聞いた。

ITmedia リクルートエージェントにとって、企業サイトの存在意義は何でしょうか。

青葉 Webサイトを見るだけで、リクルートエージェントが何をやっているかが分かるような「役立つメディア」にしたい。そのためにも、(転職の案件を紹介するコンテンツではなく)転職による成功/失敗事例、人材紹介を担当するアドバイザーなどをWebサイトの最初に紹介するという構成にしています。

 リクルートエージェントとしては、人材や転職関連の業界をリードするような情報を発信していくことに意義を感じており、業界トップの責任として良い転職の機会を増やし、悪い転職を減らしたいと考えています。これを実現できるサイト作りを目指しています。

ITmedia 企業はWebサイトの構築や刷新に苦心しています。リニューアルに当たり注意すべき点はありますか。

青葉 業界が持つ特有の課題、企業自体が持つ課題、Webサイトが抱える課題など、課題には複数の層があります。まずは自社がどのレベルで課題があるかを把握することが大切です。

 業界の構造や会社特有の話、事業や部署の課題を洗い出し、スケジュールをしっかりと組む。その上でWebサイトの刷新に着手していくべきです。もちろん(現場だけでなく)経営側の意志決定も握っておく必要があります。これをしっかりとしておかないと、経済環境の変化や人材異動などが起こると構造改革が立ちゆかなくなります。

 Web(による改善)はあくまでソリューションという位置付けであり、単純に企業サイトを刷新すればいいというものではないと思います。

ITmedia Webマーケティングを改善するためには、経営部門からの信頼を得ることが不可欠だとおっしゃいました。どのようにして信頼を勝ち取ったのでしょうか。

青葉 経営部門が考える現場に対する信頼性とは、どれだけコストを削減できるか、顧客とのきずなをどれだけ強くできるか、といったことに対するコミットだととらえています。そのために、なぜWebを改善するのかについて、根本的な議論をしっかりと詰めておくことが大切です。

 もちろんCMSを入れて、カスタマイズの発注をして、どれだけコストを抑えて……といった議論もあります。でもWebマーケティングの改善で何を達成するかを突き詰めることの方が大切です。それを結果として出せるということが経営者に伝われば、信頼が得られると考えています。

青葉哲郎氏 青葉氏はリクルートエージェントに入社後、『転職に人間力を。』というブランドイメージを作り、同社の認知度を高めていった。11月にマーケティングを中心とした総合コンサルティングサービスを手掛けるサイコス株式会社を立ち上げた(写真は9月14日のインタビュー時のもの)

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