経理部門ではなく、社員みんなのために会計システムを作る――スカイネットアジア航空導入事例(1/2 ページ)

スカイネットアジア航空は、2010年の羽田拡張を大きな飛躍の年と位置付け、拠点間のデータ連携や管理会計の充実を図るため会計システムを刷新。経理部門のためではなく“すべての社員が有効活用できること”を念頭に導入を進めたという。

» 2009年11月27日 08時00分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

月次決算の早期化とBPRの推進、管理会計の充実が課題に

早川氏 企画部 経理資金担当部長 早川彰氏

 航空業界の規制緩和を受け、スカイマーク、北海道国際航空(エア・ドゥ)に続いて、航空業界に新規参入したのがスカイネットアジア航空である。宮崎に本社を構え、ユーザーにとって低価格かつ選択肢の多い運賃やプランを武器に、2002年8月に羽田−宮崎線で新規参入。2009年11月からは宮崎−沖縄と熊本−沖縄の2路線を新たに追加し、8路線46便、9機体制へと事業を拡大した。

 同社が会計システム導入の検討を開始したのは2006年のこと。当時、同社が抱えていた課題と導入の背景について、経理資金担当部長 早川彰氏は次のように話す。

 「経営基盤の強化が求められた時期でもあり、月次決算の早期化やBPR推進とともに詳細な分析ができる管理会計(*注1)を充実させることが課題となっていました。また、コンプライアンス内部統制の強化も求められており、汎用性・拡張性を兼ねそろえた会計システムの刷新が急務となっていました」(早川氏)

(*注1)管理会計……社内的な原価把握とその分析を行い、その結果に基づいて改善活動に役立つ情報を得るための会計のこと。通常の財務会計では使われない詳細な情報も把握して、分析に利用することが多い。

 新しい会計システムを導入する前は、重複入力などの業務が顕在化していた。例えば取引先への支払い業務では、各拠点で作成した帳票を経理部門に紙で提出、経理部門ではその紙を基に支払管理データとしてExcelに入力し、その情報を再度会計システムに入力するなど、同じ内容のデータを複数回入力しており、月次処理の遅延を招いていた。

 これらの問題点は事業の拡大とともに、改善すべき課題として浮上。その結果、業務の流れを整理し、データ収集や重複入力などの無駄を徹底的に廃することで決算を早期化し、かつ管理会計を充実させる基盤として、新たな会計システムが必要とされたのである。

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