安価で優良な労働力を抱え、政府主導でIT立国を目指す新興国として注目を集めるベトナム。日系企業の進出が盛んな同国でサポートを提供するNTTコミュニケーションズ(NTT Com)ベトナムは、回線品質の向上を実現するために現地パートナーと密接な関係を築いている。NTT Comベトナムの強みと取り組みを実践例を交えて紹介する。
「アオザイ」「ベトナム戦争」「食事がおいしい」――。ベトナムという国から連想されるイメージは、一般に文化や歴史に関連するものが多い。しかし、ビジネスにおいてベトナムはまったく違う顔を見せる。2009年のGDP成長率は4.7%(アジア開発銀行「2009年アジア開発展望改訂版」)、2010年予測では6.5%(同)と、中国やインドを追走する新興国グループの1つだ。さらに特筆すべき点は人口の70%が40歳以下であること。労働者の平均給与は月100ドルを下回るものの、識字率が70%を超えることからベトナムは安価で優良な労働力を抱える国として世界から注目されている。
順調な経済成長を背景に、ベトナムのインターネット加入者数は2004年からの5年間で13倍に増えた。政府が進める「2020年までのITパーク開発計画」は、2020年までに全国23カ所に総面積が約1000haのITパークを建設し、年間売上高で12〜15億ドルの創出を狙う。国家戦略としてIT立国化を進めているのだ。日系企業の進出も活発で、首都ハノイや最大都市のホーチミン、ダナンなどを中心に約800社が進出している(日本商工会加入社ベース)。
ベトナムにおけるICTインフラの現状を見ると、大きな特徴が2つある。1つは通信キャリアの数が多く、キャリアによってISPシェアや容量拡大のスピードに大きな違いがあること(図1参照)。例えばベトナム郵電公社(VNPT)はシェア、国際バックボーン容量の拡大ともに群を抜く一方で、関連するプレーヤーが多い。「新設時や故障の際には、これらのキャリアを効率良くコントロールすることが必要」(NTT Comベトナムの後藤雅人社長)という。ここでは人脈を含めた経験とノウハウが問われる。
2つめは相対的に回線品質が低いことだ。ある調査では、ベトナムの通信キャリアは故障時間は短いものの、故障回数と安定性ではアジアワースト3に入る。後藤氏は「エンド―エンドで多くのキャリアが介在して情報共有ができず、同じ故障が繰り返し発生する傾向にある」と分析している。これを回避するために、NTT Comベトナムではベトナムの現地通信キャリアとの間で、(1)キャリア間IDを間違うような人為的ミスを減らすためにIDリストを共有化する、(2)バックボーン情報を含めたアクセスラインをブロック図によって可視化する――などの施策を行っている。
日系企業をはじめとした顧客企業にワンストップで高品質ICTソリューションを提供するためには、多くの現地キャリアと親密にコンタクトしながら協力し、「カイゼン」を進めることが不可欠なのである。
ベトナムではもともと人々のセキュリティへの意識が弱く、違法ソフトウェアの使用率が85%に上るという調査結果もある。会社のファイルサーバは個人がダウンロードした音楽や画像で一杯――というケースもよく見かけるという。「顧客企業の現地スタッフに対するセキュリティマインドの醸成も当社の重要な業務の1つ」(後藤氏)。
NTT Comベトナムでは、セキュリティ対策ICTソリューションのほか、ビデオを利用した具体的な事例の共有からセキュリティに関する講習(日本語/英語/ベトナム語)、社内セキュリティポリシーの策定支援まで、システムと人の両面からのセキュリティ対策を提供している。ベトナムでグローバルレベルのICTソリューションを実現するには、ルール作りや教育・研修の領域まで踏み込んだノウハウを持つパートナーを選ぶことが重要だろう(図2参照)。
2001年に設立されたNTT Comベトナムは現在、ホーチミンとハノイの2拠点体制でサービスを提供し、また、進出企業の多いハイフォンにも重点的にサポートを提供している。また、同社はベトナム初の国際標準データセンター(TierIIIレベル)であるグローバルデータサービス(GDS)社をVNPTグループと共同で運営している。ハノイ市郊外のタンロン工業団地にあるGDS社のデータセンターは最大300ラックの規模を誇り、24時間のオペレーションを実現。これはベトナムにおけるNTT Comグループの大きな強みの1つと言えるだろう。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年2月28日