Google AndroidはWindows Mobileを駆逐するか(1/2 ページ)

Androidがモバイル市場で急速に勢力を伸ばしており、iPhoneキラーになるかもしれないとも言われている。だがむしろ、Android台頭で打撃を受けるのはMicrosoftだろう。

» 2009年12月11日 07時30分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 11月5日、GoogleのAndroid OSを搭載したMotorola DROIDがVerizonから発売されたとき、すぐに同製品とAppleのiPhoneとの比較が始まった。その議論に油を注いだのがVerizonで、今のところiPhoneにはない機能――複数アプリの同時実行など――を強調し、直接対決を仕掛ける広告を打ち出した。

 しかし、Androidの影響を最も受ける企業は、Appleではないかもしれない。Androidの勢いが高まったときに、標的になっている企業はMicrosoftかもしれない。

 MicrosoftのWindows Mobile――現在バージョン6.5で、2010年にバージョン7にアップグレードされる見込み――は、Androidの台頭によって最も打撃を受ける可能性がある。Appleなどの企業とは違って、Microsoftは、自社のOSと付属ソフトを複数のメーカーとキャリアが提供する複数のデバイスに搭載してもらうビジネスに依存している。この方式は、強力なライバルがエコシステムに入ってこない限り、モバイルOS市場シェアという点では大きなアドバンテージになる可能性がある。

「強力なライバル」はAndroidか

 Nokiaの携帯電話で幅広く使われているSymbian OSは、その「強力なライバル」でないことが分かっている。データによると、Symbianの市場シェアは2008年10月に59%だったが、2009年10月には27%に落ち込んでいる。これは表向き、マルチデバイスOS分野を狙うMicrosoftにとっては朗報だろう。同じ期間、Windows Mobileの市場シェアが約70%縮小した(AdMob調べ)ことを除いては。

 Microsoftは、自身が問題を抱えていることを知っている。9月24日に開かれた同社のVenture Capital Summitで、スティーブ・バルマーCEOは、同社がWindows Mobileを「ダメにしてしまった」と示唆し、Windows Mobile 7が既にリリースされていたらよかったのにと公衆の面前で語ったと伝えられている。10月6日にリリースされ、タッチ機能の拡張などを盛り込んだWindows Mobile 6.5は、Windows Mobile 7までの一時しのぎと考えられている。

 理論上は、Windows Mobile 7が登場してiPhoneやBlackBerryと総力戦を展開する前に、Windows Mobile 6.5がMicrosoftのモバイル市場シェアの減衰を食い止めることになっている。だがAndroidがそのモデルにプレッシャーをかけている。AdMobのデータでは、Googleの市場シェアは過去1年間で1000%増加している。

 この成長率に引きつけられて、もっと多くのメーカーが新しい携帯電話にAndroidを搭載するようになるだろう。Microsoftは以前、Windows Mobile 6.5は2010年までにLG Electronics、HTC、Sony Ericssonなどの13機種に採用されると発表した。Googleのモバイルプラットフォーム担当シニアディレクター、アンディ・ルービン氏は先に、Androidは年内に18〜20機種に採用されるとの見積もりを示していた。情報の出所を考慮して(Android搭載機種の数を)半分に割り引いて――NokiaやMotorolaからAcer、Dellまであらゆる企業がAndroid携帯を構築しているか検討していることを考えると、保守的な見方だが――考えても、かなりの数のAndroid携帯がエコシステムに入り込んでいる。

 Microsoftにとっては、周りに敵がいないときに要塞を強化するよりも、敵が城壁をよじ登ろうとしているときに、門を修理したり、大砲の弾を込めたりする方がずっと難しいだろう。

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