Microsoftはコンシューマー市場の敗者か?

「ゲーム以外では、Microsoftはコンシューマー市場の敗者だ。MicrosoftはコンシューマーのDNAなど持ち合わせていない」――本当にそうだろうか。

» 2009年12月16日 08時00分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 ゲームを除けば、コンシューマー市場における米Microsoftの戦いはゲームオーバーだ――。IT市場の動向を予測するニュースレター米Strategic News Serviceの発行人であるマーク・アンダーソン氏は12月10日、The New York Timesの取材に対し、そう語った。「Microsoftを携帯電話市場の敗者と宣言すべきときがきた。さっさと立ち去る方がいい」とさらに同氏は続けている。

 Microsoftは長らく「Three Screens and a Cloud(3つの画面とクラウド)」という戦略の下、同社の各種サービスをクラウドを介してPCと携帯電話とテレビという3つの画面で連係させるというコンセプトを推進してきた。だがIT市場で携帯電話の存在感がかつてないほど高まる中、Microsoftは自社のモバイルOS「Windows Mobile」のせいで身動きがとれずにいる。Windows Mobileについては、同社CEOのスティーブ・バルマー氏までもが「失敗した」と認めたとされている。

 携帯電話市場で巻き返しを図るべく、Microsoftは同OSの次世代版「Windows Mobile 7」に希望を託している(リリースは2010年のいずれかの段階とみられている)。だがアンダーソン氏がThe New York Timesに語ったところによると、問題はもっと根深いという。

 The New York Timesのブロガーであるスティーブ・レーア氏によると、アンダーソン氏は次のように語ったという。「携帯電話はコンシューマー向けの商品だが、MicrosoftはコンシューマーのDNAなど持ち合わせていない。Microsoftのオフィスに一歩足を踏み入れれば、そこがコンシューマー向けの場所でないことはすぐに分かる。Googleのオフィスに足を踏み入れれば、エンタープライズ向けの場所ではないことが明らかなのと同じことだ」

 おそらくMicrosoftもGoogleもこの発言には異論があるだろう。だが携帯電話がIT革新やデジタル生活の最前線の端末としてその存在感を増す中、Microsoftは自らがいささか不利な立場に置かれていることを認識している。GoogleのAndroid OSの人気が高まりつつある中ではなおさらだ。

 だがたとえMicrosoftがモバイル市場で今ほど危うい立場に立たされたことはないにしても、わたしが思うに、コンシューマー市場における同社の広範な足場はもう少し堅牢なはずだ。

 当然、Xboxシリーズの存在もある。Xboxについてはアンダーソン氏も「成功」と評している(Xbox 360の販売台数はソニーのプレイステーション3(PS3)の販売台数を僅差で上回っているが、ゲーム市場全体の売上高は年末商戦期にもかかわらず減少している)。またWindowsはコンシューマーPC市場においては依然、大きなシェアを維持している。10月22日にニューヨークで開催されたWindows 7の発売イベントにおいて、Microsoftの幹部はWindows 7を中心にホームネットワーク内のさまざまな端末の画面で多様なコンテンツを表示できる様子を次々に披露してみせた。そしてユーザーは依然としてWebの閲覧や仕事以外の日常の用途にMicrosoft製品を利用している。

 今後、状況によっては、コンシューマー市場におけるMicrosoftの全体的なシェアは縮小する可能性もある。だがわたしは、コンシューマー市場におけるMicrosoftの敗北が差し迫っているとは思っていない。皆さんはどうお考えだろう? 皆さんはアンダーソン氏のコメントをどう受け止めているだろう?

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