偽プロフvs.本物のプロフネットファーザーの金言(2/3 ページ)

» 2009年12月21日 11時30分 公開
[吉田賢治郎,ITmedia]

GEMで作戦会議を開く

 サトルくんは小さく頼りなさそうに見えた。しかし、見ず知らずの大人と2人だけで会うことができるのだから、見た目よりもしっかりしているのだろう。

 わたしは自分もいじめられっこだったこと、母子家庭であり弟と別々に暮らしていたこと、そして娘が学校裏サイトでいじめられたときのことなどを話した。信頼感と親近感を持ってもらいたかったからだ。

 その後、偽プロフへの対応を話し合うことにしたのだが、サトルくんが自分1人で解決するという意思を持っていたので、わたしはGEMという手法をとることにした。

コミュニケーションスタイル「GEM」(書籍より抜粋)

 GEM(ジェム)とは、自由闊達(かったつ)な企業や組織、チームなどを作り、運営するための手法だ。

 G:Goal ゴールの明確化 最終的にどういう状態になっていれば相手も自分もハッピーで、達成すると何が得られるかを明確にする。このときに、自由にして良い条件、範囲も決める。

 E:Empowerment 権限の委譲 ゴールと条件範囲が決まったら、後は自分で考え、工夫し自己責任で行動する。

 M:Measurement 結果の評価と報酬 結果が成功したのか失敗したのかが分かり、得られるメリットや代償を明確にする。

 『子どもをネットから守り、ネットで育てる』より抜粋

 とはいえ、実際にこんな難しいことを話したわけではない。サトルくんと決めたのは、

 G 偽プロフがなくなり、サトルくんへの中傷もなくなる

 E 偽プロフやサトルくんを誹謗(ひぼう)中傷している人を非難、攻撃、指示しないこと、他人の個人情報を出さないこと以外は、サトルくんのアイデア、意思、判断で自由にやる

 M メールや掲示板のコメントで謝罪の言葉を得ることをもって、解決したと判断する

であった。わたしは何も教えていないし、何のアドバイスもしていない。その資格も技術もアドバイスできるだけのスキルもない。ビジネスのプロとしてのノウハウを生かすしかないのだ。

 わたしが提供した唯一のものは“事例”である。サトルくんが自分で判断し、決断するために重要なのは、ネットの知識でもネット問題に関するうんちくではなく、ネット問題の対応事例であると思ったからだ。そこで、以前書いたブログ「学校裏サイトで娘が実名で攻撃され、父としてメールを送ってみた。」のリンクを送った。

 これがサトルくんに思わぬ行動を取らせた。

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