さよなら、難しいコーチングビジネスマンの不死身力(3/3 ページ)

» 2009年12月22日 17時00分 公開
[竹内義晴,ITmedia]
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意見を言ってもいいケース

 質問で困るのは、相手が答えを持っていない場合だ。スケジュールの遅延で困っている部下が「本当はズバッと顧客に言いたいですけど、言えずに困っています」と答えた場合、すぐには解決策が見いだしにくい。この場合はもう、「あなたはどう思う?」とは聞けないのだ。

 コーチングでは、自分から意見を伝えてはいけないと考えがちだ。だが相手が解決策にたどり着けない場合、アドバイスは有効だ。自らの経験や考えを伝えながら、相手の解決策の呼び水となる情報を提供すべきだ。

 この場合、「○○や△△といった方法があると思うけど、A君はどう思う?」というように、あなたの貴重な意見を情報として示し、最後に問い掛けを加えてみよう。具体的な答えは、相手に選んでもらえばいいのである。

「コーチングをする」と言わない

 最後に、会社でコーチングにの要素を取り入れたアプローチをする際の注意点を伝えておこう。

 先日、社内でコーチングができずに困っている方と出会った。自分の意思でコーチングを勉強したものの、就業時間内にコーチングの時間が確保できず、仕方なく業務時間外に職場仲間にコーチングをしているのだという。会社がコーチングを理解してくれず、就業時間中にコーチングの時間が作りにくいと悩んでいる方は少なくない。

 この場合、仕事の中でさりげなくコーチングを実践してみよう。休憩時間に話をしてみたり、何だか悩んでいるようだと会話のきっかけを作ったりしてみるのもいい。「コーチングをする」と宣言して仲間を集うのではなく、普段のコミュニケーションの中にコーチングのノウハウを取り入れるほうが実践的だ。コーチングという横文字を警戒されることもないはずだ。

 これがコーチングを実務で生かすコツだ。一度にたくさんのことを習得しようとせずに、紹介したポイントを1つずつ実践していくことで、コーチングを取り入れたアプローチのメリットを体感していただけるだろう。


 コーチングはコミュニケーションのツールであり、手段でしかない。目的はさまざまなスキルやツールを使いこなすことではなく、仲間とともに成果を挙げることである。そのためにも、できるだけシンプルに考えてみて欲しい。この考え方を実践に生かしていただければ幸いだ。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。自動車メーカー、コンピュータ会社を経て、現在は、経営者・起業家・リーダー層を中心としたビジネスコーチング、人材教育に従事。システムエンジニア時代には、プロジェクトマネジメントにコーチングや神経言語学を生かし、組織活性化を実現。この経験を生かして、クライアントの夢が現実になるよう、コーチングの現場で日々奮闘している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。




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