Microsoftのクラウド進出、成果は2010年に(2/2 ページ)

» 2009年12月25日 11時48分 公開
[Nicholas Kolakowski,ITmedia]
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 Azureのサービスが本格的に開始したら、次に浮かぶ疑問は、Microsoftのクラウド製品がAmazonGoogleの製品とどこまで競争できるかということだ。

 米Gartnerのアナリスト、レイ・バルデス氏は、Azureプラットフォームが2008年に初めて披露されたとき、「市場での強大な影響力と豊富な技術リソースを持つMicrosoftは、いずれ重要な役割を演じるようになるだろう」と米eWEEKの取材で語った。「Microsoft製品で社内を統一しており、ITスタッフはMicrosoftのツールとAPIしか知らないという企業は多い。AmazonとGoogleはこれらの市場を少しずつ切り崩してはいるが、Microsoftの基盤は強固だ」

 クラウドへの進出にはリスクもあるが、その見返りは大きい。Gartnerの報告書によると、クラウドサービスの潜在的な市場規模は1500億ドルに上るとしている。

 2009年3月、Azureの初期テストリリースで22時間にわたる障害が発生し、その間ユーザーはアプリケーションが「停止」あるいは「初期化中」というメッセージを受け取った。Azureでは、全世界に分散したデータセンターのネットワークを利用してアプリケーションをユーザーに配信するが、Microsoftは8月、「地方税法の改訂」を理由にAzureの機能を米国北西部にある同社のデータセンターから移転すると発表した。

 クラウドサービス市場が拡大する中、Microsoftではクラウドベースの構想やプログラムを幾つか計画している。例えば、Windows Server 2008 R2では、仮想マシンのHyper-VがAzureでサポートされるほか、パートナーがアプリケーションをマーケティング・販売できる「Microsoft Pinpoint Marketplace」が立ち上げられる予定だ。また、「Windows Identity Foundation」のRTM(製造工程向けリリース)版では、開発者はクラウド型アプリとオンプレミス型アプリの両方に簡単にアクセスする機能をユーザーに提供できる。

 だがMicrosoftはその一方で、自社の従来のデスクトップ向け製品の多くにクラウド機能を連係する考えだ。

 ブラウザアクセス版のOneNote、Excel、Word、PowerPointは、クラウドを通じてWindows Live登録ユーザーに無料で提供される予定だ。ただし、今後登場する「Office 2010」の機能をすべて必要とするユーザーは、フルバージョンを購入する必要がある。Web版のOfficeアプリケーションの無償提供は、Microsoftの市場シェアを浸食する可能性があるGoogle Appsなどのクラウドベースのプロダクティビティスイートからの脅威の高まりに反撃するために同社が編み出した作戦だ。Microsoftでは、このWebスイートの現時点での機能を“まあまあ”と表現している。

 クラウドコンピューティング分野への進出を始めたMicrosoftだが、今後クラウドがますます一般化する中で、Microsoftが自社のほかのデスクトップベースのプラットフォーム(特にWindows)の将来版をどのような形でクラウドと連係させるつもりなのかは、まだ見えてこない。一方、Googleは2010年末までに、ブラウザベースのChrome OSを当初はNetbook向けにリリースする予定だが、それが「Windows 8」の開発にどのような影響を与えるのかは不明だ。

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