キーワードは「成長」と「グローバル化」――IT各社の年頭所感から2010年の目標は(2/4 ページ)

» 2010年01月05日 10時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

NEC 矢野薫社長

 2010年はこれまで築いてきたNECグループの新しい基盤に基づき、「NECグループビジョン2017」を実現するための大胆な一歩を踏み出す年としよう。ビジョンで想定した世界への動きが加速する中、IT/ネットワークを軸とした新しいNECグループとしてグループの総力を結集し、「顧客の顧客」までを考えながら、不況の先の新しい世界に向けて顧客と社会に貢献できるイノベーションを生み出していこう。そのために、クラウドを軸とした成長戦略の実行を加速し、徹底したマーケットインの発想でグローバルに勝てる製品・サービスを創出していこう。

 グループが「One NEC」として力を最大限に発揮するために、「対話」を継続的に行うことで組織風土改革を推進し、対話によって世界中の知恵を新結合させイノベーションを生みだしていこう。その中でグループ全体で成功と失敗を共有し、仲間とともに学んでいこう。

 年初にあたり、グループ社員には、2010年の挑戦を成功させるために一人ひとりが主役となり、自分に何が出来るかを考え、主体的に行動してほしい。自部門だけでなく、全体最適を常に意識し、One NECに貢献するために、お互いが助け合って実行していこう。

富士通 間塚道義会長兼社長

 2008年末からの100年に1度といわれる市況悪化もさすがに底を打ち、景気も復調の兆しが出始めた。ただ、急激な円高の進行など、先行き不透明感もあり、今年もしばらくは厳しい状況が続くと覚悟しているが、ぜひ今年は「攻め」の気持ちを持って、経営の舵取りをしていきたい。

 経済危機を背景に、変化の激しい経済環境をどう生き抜くかを考えたときに、経営者にとって、改めて経営に果たす情報や通信に関する技術(ICT)の重要性の認識が高まっているのではないか。経営者から見たICTの大きな課題は、ICT投資の70%以上が、現行システムの維持・運用に費やされ、新規開発への投資が進まないことだ。この現状を打破するために、クラウドコンピューティングやSaaSへ大きな期待が集まっていると考える。

 もう1つの経営者からみた大きな課題は、企業の重要資産である「情報」をどう有効活用できるかだろう。経営者の視点で、複数の業務システムに散在する情報を横断的に連携させて、経営の問題点を把握しようとすると、システム間でのデータ形式の相違など、サイロ化の課題が顕在化する。変化の激しい時代には明細レベルのリアルタイムの小さな情報をも経営者から現場に至るまでが共有して、素早いアクションを起こすことが求められている。

 この10年で、ICTはコンピュータセントリックからネットワークセントリックへと大きく変貌した。この先にあるもの、富士通は「ヒューマン・セントリック」なICTの時代だととらえる。このような厳しい経済環境にあるからこそ夢を持って、顧客とともにヒューマン・セントリックなICTの時代を見据えて、ICTの新しい利活用の開拓に積極的に取り組みたい。

日立製作所 川村隆会長兼社長

 2010年は日立創業100年の記念すべき年。今われわれは100年後の未来に向け、創業の精神を継承していく大事な役割を担っている。そのためには、まず2010年度の黒字化必達と2011年度以降の成長に向けた足固めが重要だ。グループの一人ひとりが「優先順位の見直し」を十分に意識し、「Time is Money」を肝に銘じて、スピーディーに改革を進めてほしい。

 次にグローバルな環境価値創造への貢献だ。業務や日常生活などあらゆる局面で環境への意識を高め、グローバルな課題である環境価値創造に貢献していこう。そして、人財の重要性の再認識、グローバルな人財活用の拡大だ。優れた人財をグローバルにかつ積極的に活用していくことが欠かせないが、人財の育成や活用は一朝一夕になるものではない。生まれ育った文化的背景や性別を超えて、ともに学び成長していく姿勢が大事だと考えている。常にグローバルな視野での人財育成、活用を意識し、実行してほしい。

 100年目の今年は「確かな技術でつぎの100年へ」をキーワードに、各分野での飛躍を目指す。力を今こそ結集し、この1年を実りある年にしていこう。

OKI 川崎秀一社長

 2010年の経済環境は2009年に引き続き厳しい状況だ。円高、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷、企業設備投資の抑制など、景気悪化を懸念する要因も多く、2010年度中の景気回復は難しいと見通しを変えざるを得ない。

 OKIグループは2010年からグループ連結経営の変革を進める。国際会計基準IFRSの対応など個別最適からグループ企業も含めて事業セグメントごとに全体最適なオペレーションに再編する。スピード感をもって適切な対応を行い、収益力を高めたい。売れない時代にどうしたら売れるかを考え、最適な組織体制を構築していく。

 グループ社員には3つのことをお願いしたい。1つ目は「すべては顧客から始まる」ことを肝に銘じ、マーケットインの発想を心がけること。2つ目は「強い思いを持つ」ことで、「これはいける」と思ったら周囲を説得してでも、とことんこだわる姿勢を持ってほしい。3つ目は、「厳しい時代こそ自信を持って前向きに歩く」こと。前を向いていれば目の前の大きなチャンスを見逃すことはない。何とかしようと思ってものごとに取組めば、必ず何とかなるものだ。

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